ジョンロブのオールソール靴修理(1)


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 カワムラヒデトモではビスポーク靴、レディース靴、靴修理を取り扱っています。

 こちらのブログでは靴修理を取り上げています。

 ビスポーク靴の制作に関してはビスポークサイトをご覧ください。


 

 さて今回はジョン ロブのオールソールの修理を取り上げます。




 オーナーの方はとても丁寧に履かれていて、トップピースの一枚が減ってきた段階でご依頼いただきました。

 一方でソールを見てみますと、屈曲部分がかなり薄くなっていて少し穴が開いてきています。





 修理する上でとても良いタイミングだと思います。


 ではこれから修理していきます。


 ますソールを剥がしていきますが、ヒールのあご付近のウェルトとソールの間にわずかに隙間がありましたので、そこから広げていって出し縫いの糸を切っていきます。





 ここで少し、ジョンロブのヒールやコバについて触れたいと思います。

 この靴はだれが見ても美しいと感じると思うのですが、細部を見てもしっかり考えられていることが分かります。


 その一つがヒールとコバの出幅です。

 アッパーとヒールとの段差、だし縫いの糸からのコバの出幅に注目していただきたいと思います。


 ネットや雑誌の記事を読むと、これらの出幅が極力抑えられていて美しいと述べている記事をときどき見受けます。

 確かに出幅を抑えると、見た目は美しくなるかもしれません。


 しかし長く履くことを前提にしている靴はそれらと一線を画します。

 何十年も履き続ける靴は修理する前提で作っているからです。


 まず最初に靴を修理するとき、ほとんどの場合はヒールのトップピースの交換だと思います。

 交換した後に最後にヒール全体を整えます。

 もしも、ヒールにある程度の出幅がないとそれが困難になってしまいます。


 一方でジョンロブの靴を見ると適度な出幅を残しているため、容易に修理することが可能になります。

 かと言って出幅が大きすぎるとカジュアルな靴のような見た目になってしまいます。

 ジョンロブはこの点でよいバランスをとっていて、この作り方は自分の靴づくりにおいても参考にしたいと思います。

 

 

 さて、だし縫いの糸をぐるっと一周切ったら、今度はヒール部分を剥がしていきます。


 まずトップピースを剥がします。

 化粧釘の跡と、8本の釘が打ちつけられていることが分かります。

 ヒールはかなり頑丈に取り付けられていて、革をすべてはがすと本底側と内側からそれぞれ釘が打ちつけられていました。





 中敷を取り除いてみてみても、内側からも釘が打たれていることが分かります。

 この内側からの釘には抜けにくくするための細かい溝が刻まれていました。

 こうしたことから、ヒールが取れてしまうことのないように、かなりしっかり作られていることが分かります。





 ヒールを外すことができましたので、アウトソールすべてを剥がします。


 アウトソールを剥がした状態を見てみると、中物には練りコルクが使用されているのが分かります。

 この時にコルクなどの中物が一緒にはがれてしまうことが多いのですが、この靴の場合そのようなことはありませんでした。

 恐らくですが修理する前提で作っているため、接着剤も工夫しているのではないかと思います。


 ウェルトもコルクもまだまだ使える状態ですので、このまま使います。

 接着面をきれいにしてからアウトソールを貼ります。





 この靴はグッドイヤー製法で、リブとアッパーとウェルトが白い糸で縫われています。

 そのすぐ外をだし縫いの穴が走っているのですが、すくい縫いと出し縫いの糸が重なっているようなことはありません。


 コルクの下は木製のシャンクが使われていて、それがぴったり収まるように はち巻きが四角く加工されています。


 そしてコルクの中心あたりにまっすぐ線が入っているのがおわかりでしょうか?

 これはちょうどシャンクの端になるのですが、何度も歩いているうちに屈曲部分に力が加わったと考えられます。

 この部分だけ接着剤で貼り直します。



 そして次は新しいソールを貼ります。


 今回はJ&FJベイカーのソールです。


 この機会にご説明させていただきますと、修理の場合は特に素材のご指定がない場合はイタリアのラ・クエルチェの革を使用しています。

 その他の素材はイタリアのピオドゥシーニ、ドイツのマーチン、ドイツのレンデンバッハbyキルガー、イギリスのJ&FJベイカーの中からお選びいただけます。


 オーナーの方はベイカーの靴を選ばれましたので、その革を使用します。

 その革からアウトソール、積み上げヒール、トップピース用の革を切り出しました。





 この靴のウェスト部分はわずかに薄く作られています。

 そのため切り出したソールのウェストを木やすりとガラスで少し薄く漉いておきます。






 そしてアウトソールを水に十分浸し、接着面が乾いたら貼ります。





今回の靴はヒドゥンチャネルのため、糸を収めるための溝を作ります。

ソールの角から切り込みを入れ、その部分をまくり上げて糸が収まる溝を掘ります。





 このあとは出し縫いの糸を作り、ウェルトとアウトソールを縫っていきます。


 次回のブログでは、そのだし縫いの様子などをご紹介したいと思います。

 ぜひ次回もご覧ください。




 カワムラヒデトモではお客様のご要望を幅広くお聞きし修理しています。

 ハンドソーンウェルテッド製法やヒドゥンチャネル、ベヴェルドウェストなどの靴も可能です。

 使用素材や加工方法などもご指定できます。


 修理の流れは『修理の流れ』、価格は『価格表』をご覧ください。

 お見積りやご質問をお待ちしていますのでどうぞお気軽にお尋ねください。






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