ラ・クエルチェ(La Querce)のオールソール靴修理



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 さて新しい素材が入荷しましたので、この機会にご紹介させていただきたいと思います。


 イタリアの「ラ・クエルチェ」のアウトソール用の一枚革です。

 ラ・クエルチェの歴史や製造工程については以前のブログで取り上げましたので、こちらをご覧ください。


ラ・クエルチェのオールソール靴修理


 これまでカワムラでは、ラ・クエルチェのアウトソールには一足ごとに切り分けられたものを使用していました。







 今回は新しくそれに加え、一枚になった革を入荷しました。







 これは牛のベンズと呼ばれる部位で、背中からおしりにかけての革を半分に裁断したものです。

 半分にしていてもかなりの大きさになります。

 この革で、135センチ × 75センチあります。


 この革を目にしてまず最初に思ったことは、「美しい」です。

 革を見て美しいと表現することはあまりないと思いますが、明るいベージュの色がとても美しく感じました。

 この画像ではすべてをお伝え出来ないのですが、ホワイトに近い発色をしています。


 触れてみると、つるっとしていて、光を当てるときれいに反射します。

 そしてしっかり握ると、厚みがありながらも適度な柔軟性を備えています。

 床面(裏面)を見ると、目が細かく繊維が締まっています。


 革の厚みを測ってみると、5.5ミリ余りありました。







 皆様はオールソールの修理をされたとき、ソールが硬くて馴染むのに時間がかかったご経験はないでしょうか?

 アウトソールだけ新しいので、最初は違和感を覚えることがあります。

 しかしこの革の場合、比較的短い時間で足に馴染んでくれるのではないかと思います。




 さて同じタンナーの革でも、最初から一足ずつ切り分けられている素材と、一枚革から自分で切り分ける場合ではどのような違いがあるのでしょうか?


 アウトソール用の革は、ベンズという部位から採られています。

 同じ部位であっても、硬い部分や柔らかい部分、曲げやすい方向とそうでない方向があります。


 それらをある程度考慮に入れて一足ごとに切り分けていると思うのですが、実際に使用すると大きなしわが入っていたり、革の繊維が断裂していることがあります。


 さらに、左右で対になっている革が必ずしも同じ箇所や方向から採ったものとは限りません。

 そのように、左右の革の特性が異なると、履き心地に影響します。


 そうした理由からカワムラでは、ビスポークにおいては特別なご要望がない限り、一枚革を使用しています。




 さて今回、このように新しく一枚革を入荷しましたので、ラ・クエルチェのお選びいただいた場合、一枚革で修理いたします。

 またオールソールの際に、素材のご指名がない場合もこの革になります。


 なお、印字つきのラ・クエルチェをご希望の方は、一足ごとに切り分けられた革のご対応になります。


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