ここで取り上げていること
- バイオメカニズム(生体力学)に基づいた模様が特徴
- 減りにくいのがおすすめ
当ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回はビブラムの『エクスプローション』を取り上げます。
靴修理業界のトップブランドであるビブラムには様々な素材が取り扱われているのですが、この「エクスプローション」は少し珍しいタイプの底材かもしれません。
こちらがハーフソールとヒールです。


一般的に底材には、ドットや線などの溝が一定のリズムで刻まれています。
これによってスリップを防止したり、雨などの水を弾いたりして効果を発揮します。



しかしこのエクスプローションの場合、溝が波を打っているような模様をしていて、接地面の面積も大きくなったり小さくなったりしています。

資材屋さんの説明によると、「バイオメカニズム(生体力学)に…」と記されています。
調べてみるとバイオメカニズムとは生体力学のことで、体の動きを分析して様々な分野の製品などに応用するということのようです。
このソールにとってのバイオメカニズムとはどういう意味なのか、自分なりに考えてみました。
どういうことなのか理解するために、まずソールの厚みを測ってみたいと思います。

屈曲する部分の外側(小指の付け根)と親指あたりに厚みがあり、約2.4ミリありました。
一方でその他は平均して約2.1ミリありました。

ソールの箇所によって厚みを変えていたり、模様の面を広くしていることにはどんな意味があるのでしょうか?
人は歩くときに足の裏で体重移動が行われます。
理想的な歩行の場合、始めはかかとの外側から地面に接します。
それから体重はそのまま外側を前に移動して、屈曲部で今度は内側に移動したあと、最後は親指で足を蹴り出します。
このエクスプローションのパターンを見ると、外側の屈曲部分と親指が強化されているのが分かります。

つまり、特に体重や力が加わる部分がしっかり作られていることが分かります。
ご自身の靴の裏を見ていただきたいのですが、靴の裏はまんべんなく減るのではなく、ある部分だけ減ることにお気づきだと思います。
多くの場合減りやすいのは、かかとの外側、屈曲部分、そしてつま先です。
つまり、この部分に特に力が加わったり、全体重がかかっているポイントになります。
そのようなことからエクスプローションは特にその部分に厚みを持たせ、面を広くとっていることが分かります。
結論として、力や体重が加わる(あるいは加える)箇所の強度を増す一方で、その他の部分は柔軟性を持たせることにより、正しい歩行を促しているのではないかと思います。
ただこれはあくまでもカワムラの推測ですので、ビブラム社の見解は異なるかもしれません。
さて、そのエクスプローションのハーフソールとヒールによる加工例です。






生体力学に基づいた模様はどことなく美しさを感じますね。
さらにもう一つエクスプローションに関してお伝えしたいと思います。
自分の靴にこれまで様々なヒールを貼って試したのですが、このエクスプローションは「減りにくい」という点でトップクラスだと感じています。
一方でその分、歩いてみて少し硬く感じられるかもしれません。
さてカワムラヒデトモでは、エクスプローションを含め様々な靴の素材をご用意しています。
それぞれに特徴がありますので、このようなソールを探しているということがございましたらメールやお電話でどうぞお尋ねください。
カワムラヒデトモは宅配を利用した靴修理を行っています。
お見積りは無料で行っていて、価格表に載っていない資材も取り扱っていますので、ぜひこの機会にお尋ねください。
もちろんお見積のみも大歓迎です。
皆様のご連絡をいつでもお待ちしています。