ここでお伝えしていること
- ベイカーは1862年創業
- イギリスで唯一のオークバークの革を生産
- 靴や馬具、インテリアなどに使われている
当ブログをご覧いただきありがとうございます。
さて今回は底材などの革を生産するタンナーについてお話したいと思います
『J.&F.J.Baker』です。
イギリスのデボン州コリトンという所にあり、創業は1862年になります。
創業はこの年になっていますが、ホームページによると実はローマ帝国の時代からその場所で革が生産されていたそうです。
つまり革が鞣されていた場所を1862年に購入したということになります。
そしてベイカーはイギリスで唯一のオークバークの革を鞣す(作る)タンナー(革を生産する企業)になります。
先ほど触れたように、この場所で古い昔から革の鞣し(なめし)が行われ、技術の発展と共にオークの樹皮を使った革を生産するようになりました。
オークバークとは、オーク(樫など)の樹皮の液体に浸して作られた革になります。
ベイカーではその方法で12カ月から14カ月もの歳月をかけて革にしています。
そうして長い期間で作られるベイカーの革は、靴を始め、馬具、インテリア、カバン、革小物など様々な革製品に使われています。
靴に限ると、アウトソール(本底)のほか、インソール(中底)、ウェルト、トウパフやスティフィナー(先芯、月形芯)などあらゆるパーツの革を作っています。
そしてこちらがベイカーの『ベンズ』と呼ばれる部位の革になります。

ベンズとは背中からおしりにかけての部位のことで、これは半分にカット(半裁)した革になります。
厚みを測ってみると、この革の場合は4.1ミリ~4.6ミリ程度ありました。

このベンズをアウトソールに使います。
約1年かけて鞣された革は、アウトソールに必要な堅牢性に優れているからです。
たとえば革の床面(裏面)を見ると、画像ではわかりにくいのですが繊維がとても密になっています。

さらにこの革は、厚みがありながらある程度丸めることができ、柔軟性も兼ね備えていることが分かります。
つまりソールに使う革として理想的であるということです。
カワムラヒデトモでは、ビスポーク用のアウトソールには一足ごとに切り取られた革ではなくこのような一枚革を使っています。
一枚になった革を使うメリットにはどんなことがあるのでしょうか?
革というものは天然であるゆえに繊維の方向や硬さの違いがあります。
さらに傷、シワ、血管の跡もあります。
そうしたことを考慮に入れながら、裁断する箇所や方向を定めなければなりません。
アッパーの革ほど神経質になる必要はありませんが、繊維が破断していたり左右で硬さが異なると履き心地に影響します。
一枚になっていて自分で裁断する場合は、どの部分をつま先に使うか、あるいは踵に使うかなど自由に考えることができます。
そうしたメリットゆえに一枚の革から裁断しています。
カワムラヒデトモでは、様々なアウトソールのタンナーや素材をご用意しています。
ビスポークと修理でJ.&F.J.Bakerもお選びいただけます。
ぜひ耐久性と柔軟性に優れたベイカーをお楽しみください。
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