カワムラヒデトモのブログをご覧いただきありがとうございます。
カワムラではビスポークのほか、レディースシューズ、靴修理を行っています。
こちらのブログではおもに製作の様子をご紹介しています。
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さて、このブログは2020年の8月からスタートしました。
それ以来、靴はどのようにして作られるのかをテーマに、日々制作している様子をご紹介しています。
あるときは毎日、ある時は記事の投稿が滞ったりしますが、皆様にご覧いただいているおかげで続けられています。
そのように靴に関して様々なテーマで投稿していますと、いくつかの特定のワードが検索の上位に上がるようになりました。
靴がお好きな方はもちろんのこと、靴業界で働いておられる方、靴職人を目指されている方もご覧になっているようです。
改めまして、このブログをご覧いただきありがとうございます。
さて専門的な特定のワードで検索されるようになると、ブログの記事についてお問い合わせをいただくことがあります。
以前に靴業界の方からシューツリー(シューキーパー)はどのように作っているのかお尋ねいただきました。
今回は、過去に掲載した記事に新しい情報を加筆し、この機会に改めてご紹介させていただきたいと思います。
靴を愛する皆様であるなら、靴の保管の仕方についてもよくご存じかもしれません。
靴は丁寧に管理すると、20年や30年は軽く履き続けることができます。
長く履くために欠かせないアイテムの一つが、シューツリー(シューキーパー)です。
履いた後の靴は、汗をたくさん含んでいます。
そのまま靴箱に保管しておくと形が崩れたり、カビが生えたりして靴の劣化を早めてしまいます。
また、つま先や甲のあたりにできるシワが時の経過と共に割れてきてしまい、修復が困難になってしまいます。
私は靴修理店にも勤務していたことがあるのですが、革が割れている場合、ある程度見た目は復元させることはできます。
よくSNSの動画や画像などで表面をきれいに修復する様子をご覧になることがあるかもしれません。
しかしそのように修復したかに見えても革の繊維が破断していると、どんなにクリームや保革剤や修復剤を使っても元の状態に復元させることはできません。
そのため大切な靴を損なってしまわないように、予防することが重要になってきます。
そのためにシューツリーを使用されることをぜひお勧めします。
靴専門店やデパートなどに行くと、様々な種類のシューツリーが並べられているのをご存じだと思います。
もしもサンプルが置いてあるならば、実際に靴に入れてみられることをお勧めします。
靴のサイズに合うか、出し入れしやすいか、入れた時にシワがしっかり伸ばされているかということがチェックできます。
さてオーダー靴の場合、その靴専用のシューツリーを製作します。
シューツリーは自社で製作しているメーカーと、木型を作る専門の会社に依頼する場合の二通りになります。
私の場合は後者になります。
パターンオーダーの場合、作った木型のグレーディング(各サイズに展開すること)を木型屋さんにお願いし、シューツリーもそれに合わせて作っていただいています。
ビスポークの場合も、作った木型を木型屋さんに送り、シューツリーを作っていただきます。
では実際にどのようにして作られているのがご覧いただきたいと思います。
まずベースとなる木型を基にシューツリー用の木型を用意し、加工していきます。

二つを並べると同じ木型のように見えるのですが、いくつかの箇所は元の木型より小さく作っています。
もしも元の木型のまま作ってしまうと、靴の中に入らなくなってしまうからです。
今回の場合、甲からつま先にかけて薄くし、さらに履き口、踵周りも小さくしています。
さらにこの木型を基にシューツリー用の木型を作り、加工します。
次に、二つに切り分けて、出し入れした時に引っかからないようになるべく角を丸く加工し、金具を取り付けます。

このシューツリーでは、靴の中の湿気を逃がしやすくするために、空洞を作っています。

今回の記事でご紹介したように、シューツリーもいくつかの段階を経て完成します。
冒頭でお伝えした通り靴の寿命が延びますので、ぜひシューツリーをお使いください。
カワムラヒデトモでは、ビスポークやパターンオーダーでは専用のシューツリーがオーダーに含まれています。
オンラインショップに掲載の靴は、シューツリーは別途ご注文になります。
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