Uチップの靴(4)



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 さて今回ご紹介するのは、Uチップの制作の様子です。


 前回では、アッパーの完成までご紹介しました。







 今回はその続きで、「つり込み」を行っていきたいと思います。

 「吊り込み」「釣り込み」と表記されるようです。


 そのつり込みとは、中底を貼った木型にアッパーを合わせることです。

 つり込むという言葉にすべてのことが端的に表現されています。


 靴の全体の形を決める重要な工程です。


 それには私はこのような工具を使っています。







 右から

 ・ハンマー(2種類)

   私の場合、革の上を叩く場合と、釘の上を叩く場合でハンマーを使い分けています。

   釘を叩くとハンマーに細かい傷ができてしまうため、私はそのようにしています。


 ・ウェストペンチ

   ウェスト(踏まず)部分を強く引っ張るときに使います。


 ・ワニ(2種類)

   ラスティングピンサーとも呼ばれ、革を引っ張りまとめていく時に使います。


   私の場合、つま先やかかとなど細かい部分はレディース用のワニを使っています。

   レディース靴の底付けからスタートしたこともあり、先端の細いワニを今でもよく使います。

   その他の箇所は、先端の幅がやや広めのワニを使います。

   先端が広いと面でつかむことができ、しっかり引っ張ることができます。


 ・釘抜き

   文字通り釘を抜きます。


 ・釘、タックス

   かかとにはタックス、そのほかは25ミリの釘を使います。




 これらの工具を使ってつり込みを行います。


 まず始めは、仮でつり込んでみます。

 主要な箇所だけ釘を打ちます。







 これによって、全体のバランス(特にモカのバランス)やかかとの収まり具合、つり込みしろやトップラインなどを確認します。


 各箇所確認できたら、つり込みを開始します。







 集中して一気につり込むので、途中経過の写真を撮ることはしていないのですが、

 全体をつり込んだ後、まずかかとをまとめてからつま先という順番でつり込んでいます。


 つり込む方法は職人さんできっと異なっていると思います。


 つり込みができたら、ウェルトを作り、すくい縫いを行います。