当ブログをご覧いただきありがとうございます。
カワムラヒデトモではビスポーク靴、レディース靴、靴修理を行っています。
こちらのブログでは製作の様子をご紹介しています。
修理に関するブログは、修理サイトをご覧ください。
ブログについてのご質問もお待ちしていますので、どうぞメールフォームよりお寄せください。
さて今回ご紹介するのは、Uチップの制作の様子です。
前回では、アッパーの完成までご紹介しました。


今回はその続きで、「つり込み」を行っていきたいと思います。
「吊り込み」「釣り込み」と表記されるようです。
そのつり込みとは、中底を貼った木型にアッパーを合わせることです。
つり込むという言葉にすべてのことが端的に表現されています。
靴の全体の形を決める重要な工程です。
それには私はこのような工具を使っています。

右から
・ハンマー(2種類)
私の場合、革の上を叩く場合と、釘の上を叩く場合でハンマーを使い分けています。
釘を叩くとハンマーに細かい傷ができてしまうため、私はそのようにしています。
・ウェストペンチ
ウェスト(踏まず)部分を強く引っ張るときに使います。
・ワニ(2種類)
ラスティングピンサーとも呼ばれ、革を引っ張りまとめていく時に使います。
私の場合、つま先やかかとなど細かい部分はレディース用のワニを使っています。
レディース靴の底付けからスタートしたこともあり、先端の細いワニを今でもよく使います。
その他の箇所は、先端の幅がやや広めのワニを使います。
先端が広いと面でつかむことができ、しっかり引っ張ることができます。
・釘抜き
文字通り釘を抜きます。
・釘、タックス
かかとにはタックス、そのほかは25ミリの釘を使います。
これらの工具を使ってつり込みを行います。
まず始めは、仮でつり込んでみます。
主要な箇所だけ釘を打ちます。

これによって、全体のバランス(特にモカのバランス)やかかとの収まり具合、つり込みしろやトップラインなどを確認します。
各箇所確認できたら、つり込みを開始します。


集中して一気につり込むので、途中経過の写真を撮ることはしていないのですが、
全体をつり込んだ後、まずかかとをまとめてからつま先という順番でつり込んでいます。
つり込む方法は職人さんできっと異なっていると思います。
つり込みができたら、ウェルトを作り、すくい縫いを行います。