2アイレットダービー



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 今日はデザインについてお話したいと思います。


 靴作りの中で難しいと思う工程は木型、と以前ブログに書いたことがありました。

 一方で楽しい工程は何かというと、1位か2位でデザインを考えているときと答えます。


 企業であれば、企画を担当する人やシューズデザイナーがデザインします。

 自分のような個人店は、お客様のご要望をお聞きし作り上げていきます。


 企業であるならば、需要があるか(売れるか)ということをまず第一に考えます。

 一方で個人店は、お客様のご要望に応えることが求められます。


 しかしそのご要望にお応えするには、技術的に製作が可能かどうかを見極めなければなりません。


 それは平面の革を立体的にして、靴として仕上げることができるのかという点です。

 さらに、足の関節の上にデザイン線が乗ることによって、歩くときに支障をきたすことがないかということも考慮に入れなければなりません。


 そのような様々なことを考慮すると、デザインは無限にあるわけではないということが分かります。

 メンズの靴はどれも似たようなデザインだと思われるのであれば、そのように制約があるという理由によります。


 それでも靴を作る側は可能性を求めて、様々なラインを探っていきます。

 製法上や歩行する上で問題がなく、美しいラインができたときは喜びの瞬間となります。



 さて今回は新しくダービーを制作します。

 ダービー(外羽根)はベーシックなスタイルですが、そこから少し変化を加えたいと思います。


 デザインする方法は、製作する人によって異なります。


 平面の紙からデザイン画を描く人もいれば、木型に描く方法、フォトショップやイラストレーターなどパソコン上でデザインすることもあります。

 相手にわかりやすく伝えられる方法、あるいは作る側がアイデアを生み出しやすい方法によって選んでいます。


 私の場合は以前は2次元でデザインを描いた後、木型に描いていました。

 しかし今は最初から木型に描いています。


 まずこのように木型に鉛筆で直接描きます。

 いくつもの線やデザインを描き、先ほど述べた制約を踏まえて自由にラインを探していきます。







 アイレットはいくつにするのか、キャップのラインの落としどころ、羽根やカウンターの形など様々なラインを探していきます。

 それぞれのパーツだけでなく全体のバランスも考えます。


 そして解と思われる一本のラインに絞り、さらにステッチやパーフォレーションなどディテールも描きます。


 そのようにして木型へのデザインができました。







 このデザインをすぐに形にすることもできるのですが、しばらく寝かせたいと思います。

 少し時間を空けて再び眺めると、ちょっと違うかなと思うことがよくあるからです。

 皆さまも、もしかしたらそのようにお感じになったかもしれません。


 少し時間をかけてデザインを詰めていきたいと思います。