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カワムラヒデトモではビスポーク、オンラインショップ、靴修理を行っています。
こちらのブログでは製作の様子をご紹介しています。
修理に関するブログに関しては、修理サイトをご覧ください。
さて今回は、2アイレットのダービーの製作の様子をご紹介します。
12回目でようやくヒールを取り付ける工程まできました。
前回はコバを加工する様子をお伝えしました。


今回はその続きで、ヒールを取り付けます。
まず、ヒールに使う革をカットします。
カワムラではヒールは基本的にアウトソールに使った革を使います。

これをヒールのサイズに切り分けます。
今回の靴はベヴェルドウェストではないため、一回り大きくカットします。
なぜ大きさが違うかと言いますと、ヒールの長さが異なることと、ベヴェルドウェストではテーパードさせているためです。


この革を一枚ずつ貼るのですが、アウトソールのヒール部分は湾曲しているためこのまま貼ることができません。
そのため、水に浸して加工しやすくします。
そして接着面が乾燥したら貼ります。

貼ることができたら湾曲している面を削り、平らにします。
それができたらさらに革を貼り、水平を心掛けながら積み上げていきます。
そして最後の一枚は、ラバー素材を貼ります。
これは「トップピース」や「ラスター」などと呼ばれます。
カワムラではラバー素材を取り寄せて加工しています。
革と一体型になっているトップピースもあるのですが、アウトソールとヒールの色や質感が異なってしまうため、この段階から製作しています。


そのようにしてトップピースまで取り付けることができました。


ヒールの革を積み上げることができたら、ヒール周りを削り、きれいに整えていきます。
さてこの機会に、ヒールの仕上げ方法についてお話したいと思います。
ご覧のように、カワムラではヒールに化粧釘を打たない仕上げ方をしています。




化粧釘の仕上げとは、ヒールの表面にこのような真鍮製の釘を打つ方法です。

真鍮製で金属の中では柔らかい性質のため、歩くとヒールと同時に減っていきます。
なぜカワムラでは化粧釘を使っていないかと言いますと、歩くときに金属のガリっという独特の感覚があるためです。
これに違和感を覚えるため、基本的に化粧釘を打っていません。
もちろんオーダーを頂ければ、化粧釘を打ちます。
さてヒールを取り付けると、靴としての形がようやく出来上がります。
完成が近づいたと感じるかもしれませんが、さらに多くの工程が待っています。
またよろしければご覧ください。