2アイレットのダービー―12



 当ブログをご覧いただきありがとうございます。

 カワムラヒデトモではビスポーク、オンラインショップ、靴修理を行っています。


 こちらのブログでは製作の様子をご紹介しています。

 修理に関するブログに関しては、修理サイトをご覧ください。




 さて今回は、2アイレットのダービーの製作の様子をご紹介します。

 12回目でようやくヒールを取り付ける工程まできました。

 前回はコバを加工する様子をお伝えしました。







 今回はその続きで、ヒールを取り付けます。


 まず、ヒールに使う革をカットします。

 カワムラではヒールは基本的にアウトソールに使った革を使います。







 これをヒールのサイズに切り分けます。

 今回の靴はベヴェルドウェストではないため、一回り大きくカットします。

 なぜ大きさが違うかと言いますと、ヒールの長さが異なることと、ベヴェルドウェストではテーパードさせているためです。







 この革を一枚ずつ貼るのですが、アウトソールのヒール部分は湾曲しているためこのまま貼ることができません。

 そのため、水に浸して加工しやすくします。

 そして接着面が乾燥したら貼ります。







 貼ることができたら湾曲している面を削り、平らにします。

 それができたらさらに革を貼り、水平を心掛けながら積み上げていきます。


 そして最後の一枚は、ラバー素材を貼ります。

 これは「トップピース」や「ラスター」などと呼ばれます。


 カワムラではラバー素材を取り寄せて加工しています。

 革と一体型になっているトップピースもあるのですが、アウトソールとヒールの色や質感が異なってしまうため、この段階から製作しています。







 そのようにしてトップピースまで取り付けることができました。







 ヒールの革を積み上げることができたら、ヒール周りを削り、きれいに整えていきます。



 さてこの機会に、ヒールの仕上げ方法についてお話したいと思います。

 ご覧のように、カワムラではヒールに化粧釘を打たない仕上げ方をしています。







 化粧釘の仕上げとは、ヒールの表面にこのような真鍮製の釘を打つ方法です。







 真鍮製で金属の中では柔らかい性質のため、歩くとヒールと同時に減っていきます。


 なぜカワムラでは化粧釘を使っていないかと言いますと、歩くときに金属のガリっという独特の感覚があるためです。

 これに違和感を覚えるため、基本的に化粧釘を打っていません。

 もちろんオーダーを頂ければ、化粧釘を打ちます。



 さてヒールを取り付けると、靴としての形がようやく出来上がります。

 完成が近づいたと感じるかもしれませんが、さらに多くの工程が待っています。

 またよろしければご覧ください。