2アイレットのダービー―10



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 カワムラヒデトモではビスポーク、オンラインショップ、靴修理を行っています。


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 さて今回は、2アイレットのダービーの制作の続きをご紹介します。

 前回はソールを貼るところまで取り上げました。







 今回はその続きで、ウェルトとアウトソールを縫いたいと思います。

 この工程を「出し縫い」と言います。


 まず最初に糸を縫うためのガイドになる溝をウェルトに刻みます。

 温めたウィール(ホイール)という工具をウェルトの上で転がすことによって、糸のピッチが刻まれます。







 カワムラが作っている靴のソールは通常「ヒドゥンチャネル」と言い、ソールの底面から糸目が見えない仕様になっています。


 そのようにするため、まずソールのエッジに切り込みを入れて、革をまくり上げます。

 そして糸を収めるための溝を掘ります。







 そして次は糸を作りたいと思います。


 出し縫いには麻糸を使います。

 麻糸は軽くて丈夫な糸であることから、古くから靴作りに使われています。

 私の場合、メンズには日本製の6本撚りを使っています。







 このように麻糸は丈夫な糸なのですが、それでもこのままの状態で使うと次第に糸が劣化し、履いているうちに容易に切れてしまいます。


 そのため糸にチャンを擦り付けて強度を加えます。

 針に取り付けて糸は完成です。







 さてこのようにソールの加工と糸ができたら、いよいよ縫っていきます。


 インサイドの踏まずは内側にえぐれているため、ふまず用の針を使います。

 針で穴を開けてから糸で縫います。







 スタートしたら止まることなく一気に縫い進めます。


 ぐるっと一周縫ってできあがりました。







 出し縫いができたら、一度ここでコバをきれいに整えます。

 つぎは美しく仕上げる工程に進みます。

 またよろしければご覧ください。