さてコバやヒールの表面を整えることができたら、インクを使って着色していきたいと思います。
ここで少しインクの話をしたいと思います。
革に使えるインクというのは各メーカーから様々な種類が扱われています。
ホームセンターなどでご覧になったことがあるかもしれません。
例えば革小物などを作りたいと思った時、ハンズのクラフトコーナーを見ると、とてもたくさんの革専用のインクが並んでいます。
ネットを見てもとてもたくさんの種類が扱われています。
それほど多くの人が使っているということですね。
皮革の展示会に行くと、インクを扱う材料屋さんのブースは毎年のように新製品が発表されています。
そのように接着剤やインクなどは日進月歩で進歩しています。
私が製作しているハンドソーンウェルテッドは100年以上前に完成した製法ですので、基本的な材料は変わっていないのですが、接着剤やインク類に関しては業界の進歩を見ることができます。
さて、私が普段使っているインクはこちらです。

コバやヒールには小さな小瓶に入ったインクを使っています。
色やソールの種類(革用、ラバー用)に合わせて用意します。
一般で手に入るインクです。
一方でソールには、ソールステインやソールリキッドといったソール用に作られた溶剤を使っています。
それをハケやスポンジを使って塗っていきます。
しかしこういったインクも材料屋さんで突然扱わなくなったりすることがあります。
実際のところ、これまで使っていたソールステインは廃盤になりました。
それでも不思議なことにしばらく待っていると、代用できる新しいインクが現れてくるんですね。
インクは靴に限らず革製品になくてはならないものですので、様々な要望があるのだと思います。
自分も靴業界に貢献するためにたくさん靴を作っていきたいと思います。
さて、実際に靴にインクを塗っていきましょう。
今回は靴の色に合わせて、コバとヒールに茶色のインクを塗ります。
インクは革に浸透するスピードが速いので、途中で手を止めることなく一気に塗ります。
このようにコバとヒールを着色することができました。

