今回は「漉き」という工程についてご紹介したいと思います。
漉くという言葉は普段の生活で使うことはないと思います。
私は大人になってからこの言葉を知りました。
「漉く」という言葉について調べてみると、簀の子(すのこ)を使って紙を作ることを表します。
ほとんどこの意味が出てくるのですが、さらに深く調べてみてようやく革に関する用語として出てきます。
革に関して用いられる場合、革を薄くするということを表します。
なぜ革を薄くする必要があるのでしょうか?
革は適度な厚みがあり、そのままの厚みで貼り合わせると見た目や機能に問題が生じることがあります。
靴に限るならば歩行に影響したり、足にダメージを与えてしまうことがあります。
そのため革の厚みを調整することがとても重要な工程と言えます。
漉きを行う方法は大きく分けて2種類あります。
一つは手で行う「手漉き」です。
革包丁やスカイビングナイフなどを使って漉きます。
細かい部分や革小物など面積が小さい革に最適です。
二つ目は「漉き機」を使う方法です。

漉き機には様々なタイプがあるのですが、いずれも手で行うよりも作業効率が向上します。
厚みや角度も調整できるので、靴を作るうえでとても重宝します。
今回は4つの革を漉き機を使って厚みを調整したいと思います。
革を漉く前に刃を研ぎたいと思います。

足を踏んで葉を回転させて、砥石を当てます。
すると火花を挙げながら研がれていきます。
研ぐことができれば、準備完了です。
靴のパーツにはほとんどすべての箇所に漉きを施しています。
そしてそれぞれ適切は厚みも異なります。
レバーなどをその都度調整して厚みは幅を変えます。
今回は4種類の革を漉きます。
まずアノネイ・ボカルーの革のカウンター部分です。

デュプイのサドルカーフ

デュプイのシャトーブリアン

デュプイのライニングです。

これはライニングのトップラインの厚みを調整しています。
このようにパーツのほどんどすべての部分に漉きを入れています。
この後必要であれば、包丁やナイフを使って細かく厚みを調整します。
漉きが終わったらミシンで縫っていきます。