『漉き(すき)』という言葉をご存知でしょうか?
日常ではほとんど使うことはないですね。
皮革業界で使われる場合は一般的な意味とは少し違っていて、革の厚みを調整することを表します。
なぜ、厚みを調整する必要があるのでしょうか。
2枚の革を貼り合わせると、その部分だけ厚みができてしまいますよね。
すると段差が出てしまい、見た目だけでなく、歩く上で支障が出てしまいます。
それをなくすために漉き機で革の厚みを調整します。

回転する刃に革を横からスライドさせていくと、革が削られていきます。
まず最初は余った端の革を使って試しながら、刃の角度や厚みを調整します。

白くなったところが削られて薄くなった部分ですね。

このように、革を貼り合わせる部分の端をおもに薄くします。
しかしその一方で、革全体の厚みを薄くする場合もあります。
これは靴のサイドに貼られる補強部分のパーツです。
これは、すべて均一に薄くします。

裏返すと白くなっていて、全面が削られているのが分かります。

このように薄くする革の幅によって、刃も交換します。

では、漉き幅を調整出来たら、靴に実際に使う革も漉きます。

出来上がったのが、こちらです。

気付かれたかもしれませんが、ボトム以外はすべて漉き機で厚みを調整します。
そして、それぞれ厚みや幅も違っています。
例えば、下に行くにしたがって漉き幅を大きくして、薄くしています。

これは、貼り合わせた時に段差ができるのですが、つり込んだ後にウィールが引っかかったりするのを避けるためです。
このように、それぞれのパーツに漉き加工を施すことによって、表面の段差をなくしたり、心地よい歩行を助けます。