できあがったドラフトに基づいて木型を作っていきます。
まず木型の作り方にはいくつかの方法があることをご紹介したいと思います。
大規模な製造メーカーの場合は、自社で木型を製作する機械を備えています。
作りたい靴に合わせて自由に製作することができます。
自社で作らない場合、木型を専門に作る木型屋さんに製作をお願いします。
私が以前勤めていたレディースとメンズのそれぞれのメーカーもそのようにしていました。
例えばレディースであればパンプス、サンダル、ローファー、レースアップ、ブーツなどそれぞれの靴に合った木型を作ってくださいます。
さらにヒールの高さ、つま先の形、材質、底面の加工の仕方、足囲、サイズ展開など考慮すべき点は無数にあります。
ビスポークの場合、切り株の状態の木材を取り寄せて斧で削っていくメーカーも一部あるようですが、大抵は必要なサイズより一回り大きい木材やプラスチックの木型を取り寄せて、そこから削っていきます。
私の場合もそのようにしています。
一方でパターンオーダーの場合はベースとなる木型を作り、それに革やポリパテを盛って削っていきます。
今回製作する木型はそのように革をアタッチする方法になります。
では最近採ったドラフトから、木型を作っていきたいと思います。

まず、ドラフト用紙の上に足長に一番近いサイズの木型を置きます。
すると足の形と木型には差があることが分かります。
さらに計測の時に測ったそれぞれの値や別紙に記入した様々な情報を基に木型を加工していきます。

ビスポークの場合は足の形をすっぽり覆う木型を用意して削っていくのですが、今回のパターンオーダーはベースとなる木型を用意して必要なところに革をアタッチしていきます。
このドラフトの右足はアウトサイドに厚めの革を加える必要があります。
その一部は2枚の革を足していきたいと思います。
そのため、まずアウトサイドに一枚目の革を加えていきます。
使用するのは中底を作るときに余った革です。

これを必要な形にカットして木型に貼ります。
それを鬼目ヤスリを使って削っていきます。

パターンオーダーの場合、このようにしてベースとなる木型の上に革を貼って加工していきます。
以前のブログで、靴職人に靴作りで一番重要な工程は何かと尋ねるとほとんどの人は木型と答えるだろうと述べたことがあります。
加工の仕方や使う道具や作る靴、材質も木製やプラ木型など職人やメーカーによって千差万別です。
しかし誰もが、最高の木型を作りたいという共通の目標をもって製作します。
私もそのようなすべての職人と同じく新たな木型の製作がスタートしました。