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さて今回は、デザインからパターンまでの工程をご紹介します。
靴の製造は様々な工程で成り立っています。
そのまず最初の工程は企画です。
企画とは簡単に言いますと、どんな靴を作るのか考えて、試作するという工程です。
製造メーカーの場合、デザイン画を作って取引先(たとえば卸業者さん)に提案したり、あるいはこんな靴を作ってほしいと依頼されたりして製造する靴のデザインを練っていきます。
その時にデザインだけでなく、素材や生産数など様々な条件も提示します。
その後サンプルを作り、OKが出れば製造の段階に入っていきます。
一方、自分のようなオーダーメイドなどの個人店はまずサンプルとなる靴を製作します。
幅広いデザインで、革などの素材もなるべく様々な色を使います。
お客様はそれを見て、どんな靴が出来上がるのかイメージすることができます。
お客様がデザインをイメージできるように、少なくとも基本的なデザインのサンプルを用意しておきます。
その上でデザインにアレンジを加えたり、ディテールについてお話します。
例えば、モンクストラップの靴であれば、シングルかダブル、インカーブかアウトカーブ、外羽根か内羽根、キャップの形、カウンター、メダリオンやパーフォレーション、バックル、ソールの加工など様々です。
ビスポーク(フルオーダー)の場合は必ず仮縫いがありますので、最初の段階で細かいデザインをあえて絞らないこともあります。
仮縫いの時に靴の雰囲気を見て、細かいデザインを決めることも可能で、もちろんデザインの修正や変更も可能です。
さてそんなデザインなのですが、私は大阪と東京で靴のデザインを学んだことがあります。
東京のメンズ靴のメーカーに勤めていたころは、仕事が終わってから「ヒロヤナギマチ」の柳町弘之さんのところに通い、デザインを含む靴作りを教えていただきました。
さてその時に描いたのが、内羽根をアレンジしたデザインです。
それがこちらです。

いろいろな線があってわかりにくいのですが、つま先や甲、かかとのラインをそれぞれ二重にして、やわらかいデザインにしました。
今回はこのデザインで靴を作り上げていきたいと思います。
靴作りを学んでいたころからしばらくの時を経て、具現化していきます。
さてデザインが出来上がったら、次の段階はパターン(型紙)作りです。
まず木型にデザインテープを貼ることから始めます。

木型に貼ったテープをクラフト用紙に貼り、靴のパーツごとに切り分けます。
それがこちらです。

このパターンを見るだけで、どんな靴が出来上がるのか分かるのではないでしょうか?
これを革の上に置いて切り出します。
さてこのまま次の段階に進むことができるのですが、木型にぴったり合うのかあらかじめチェックしたいと思います。
そのもっとも簡単なのが、紙でパターンを組み立ててみるという方法です。

このように紙でアッパーを作ることによって何が分かるのでしょうか?
余分なシワがないか、トップラインに隙間はないか、かかとの収まり具合、つり込みしろがどの程度あるのか、また全体的なデザインのバランスもチェックすることができます。
ここで問題なければ、次に進みます。
次は革の上にパターンを置いて、革を切り出していくクリッキングという工程です。