本底を貼り、糸が収まる溝を掘ることができました。
次に出し縫いを行いますので、まず糸を作りたいと思います。
出し縫いにはメンズの場合は6本撚りの麻糸を使っています。
まず最初にこの麻糸の先端を解きます。

次に着色してチャンをつけた後、フッ素系樹脂の糸に取り付けます。
この糸に関してなのですが、かなり前は一般的にイノシシの毛を使っていました。
毛の長さや張り具合が糸としてちょうどよかったからです。
しかしかなり前から長さやクオリティにばらつきが出てきたため、今はこの糸を使っています。
職人の間では今でもイノシシの毛が使われているかもしれませんが、主流はナイロンや釣り糸に使われるようなフッ素系樹脂の糸ではないかと思います。

糸も完成し準備することができましたので、いよいよ出し縫いを行っていきます。
さて、出し縫いとはウェルトと本底を縫う工程になります。
まずウェルトに針を刺し、本底側の溝から針を出します。
ベヴェルドウェストの靴の場合、内側と外側の踏まず部分はふまず針を使って縫っていきます。
(ベヴェルドウェストではない場合は、内側の踏まずの時のみ、ふまず針を使います)
わずかな隙間に踏まず針を刺し縫い進めます。
(下の画像はベヴェルドウェストの靴です。)

踏まずを縫うことができたら、ふまず針から出し針に持ち替えて縫っていきます。

踏まず部分を縫い終えたところから始めます。
ふまず針の時と同じように、本底側の溝から針が出るようにします。
(下の画像の靴は、同時に作っているベヴェルドウェストではない靴です。)

そのあと、針で開けた穴に糸を通します。

出し縫いは、一気に縫い進めます。
すべて縫い進めることができました。

ぐるっと一周を縫うことができれば出し縫いの完成です。