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カワムラヒデトモではメンズのビスポーク靴、レディースシューズ、靴修理を行っています。
このブログでは、靴の制作の様子のほか、靴に関する情報を掲載しています。
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さて今回は、内羽根の靴の制作の様子を取り上げます。
内羽根とは、羽根と呼ばれる靴ひもを通すパーツが内側に貼り合わせてあるデザインを指します。


オックスフォードとも呼ばれ、外羽根に比べドレッシーな印象です。
今回製作している内羽根の靴はフルブローグなのですが、それぞれのラインが二重になっています。
さらに曲線を多く用い、全体的にやわらかい印象になっています。
以前のブログで、つり込むところまでご紹介しましたので、その続きをご覧いただきたいと思います。


つり込むことができたら、次は「すくい縫い」を行います。
すくい縫いには普段使っているタイガーの糸ではなく、珍しく麻糸を使いました。
麻糸はそのまま使うのではなく、糸にチャンを擦り込ませます。
麻糸は天然素材ゆえに劣化しやすく、そのままで使用すると履いた時にすぐに切れてしまいます。
しかしチャンによって強度が増し、長持ちする糸に変化します。
チャンとは蜜蝋などを熱し、冷やし固めたものになります。


これらを使って中底とアッパーとウェルトを同時に縫い進めていきます。

ウェルトを縫い付けることができたらアウトソールを貼り、今度はウェルトとソールを縫う「出し縫い」という工程に入ります。

まず縫い進めるためのガイドとなる溝をウェルトに刻んでいきたいと思います。
ウィールと呼ばれる工具を温めて、転がしながら刻みます。


出し縫いを終えたら、コバの部分を整えます。
カワムラヒデトモでは、内羽根の靴は基本的にベヴェルドウェスト仕様にしています。
そのための加工を踏まず部分に施します。
フマズこてを使いカーブを描くように加工します。


コバの加工が終われば、ヒールを積み上げていきます。


トップピースは出来上がったものが材料屋さんでも扱われているのですが、ビスポークでは自分で加工して組み立てています。


ヒールの革を一枚ずつ積み上げることができたら、ヒールの側面を整えていきます。
木やすりと呼ばれるヤスリを使って、時間をかけて整えていきます。
靴作りには様々な工程があるのですが、中でも木やすりで整える作業は根気のいる工程です。
ヒール周りはフィニッシャーと呼ばれる機械で整えると思われるのですが、私の場合は機械を使用せず木やすりを使って時間をかけて整えています。
理由については、また別の機会にお話したいと思います。
そのように木やすりを使って、ヒールを8割から9割程度まで整えることができました。


このあとは、さらにヒールをきれいに整えていきます。
またこの続きはのちのブログで取り上げたいと思います。