今製作している靴の工程のほとんどは終了しました。
この後は、磨き、木型抜き、中敷作り、そして靴ひもを通して完成です。
木型を抜く前のこの段階で、汚れ防止のために覆っていたビニールのカバーを剥がします。
靴ひもの穴に通していたタコ糸を外し、これから靴を磨いていきます。
これから靴クリームを塗っていくのですが、その前にまず下地処理を行います。
どうしてこれが必要なのでしょうか?
革がタンナー(革の製造メーカー)さんで出来上がったときからこれまでの間に、革の油分や水分が多少抜けた状態になっています。
そのため最初に色が付いたクリームを塗ると、革にすぐに浸透してムラができてしまいます。
実際のところ自分もこのことを経験しました。
そうしたことを防ぐためにまず始めに下地処理を行います。
さてこの下地処理ですが、メーカーによっては製甲の段階やつり込みが終わった段階で行っておられるようです。
私の場合は最後の靴磨きの時にこれを行っています。
つり込みを行う段階でビニールで覆うため、このときに塗ってしまうと水分や油分などが抜けずにシミになってしまうからです。
さてこの下地処理用の保革クリームは各メーカーから販売されています。
ハンズやデパートなどのシューケアコーナーを見ると、多くの製品が並んでいます。
靴作りに必要な基本的な材料は昔からほとんど変わっていないのですが、こうしたクリーム関連の品物は接着剤などと同様に日進月歩で進歩しています。
そのため日々新しい製品が店頭に並んでいます。
ブログのどこかで述べたと思うのですが、材料を扱う展示会に行くとメーカーさんの企業努力をいつも感じます。
私はどの革に何を使うのかはすでに決めていて、表にしてまとめています。
革によって合うものそうでないものがあり、求める仕上がり具合もそれぞれだと思いますので、どれにするかは皆様で吟味していただきたいと思います。
さて保革クリームを塗った状態がこちらです。

塗る前の写真を撮っていなかったのですが、少ししっとりとした表情になりました。
やや深い色になった印象です。
この後、靴クリームを塗っていきます。