今回のテーマは中敷です。
スニーカーや革靴など、靴には必ずと言っていいほど備わっています。
これにはかかとを保護する重要な役割があります。
その種類は様々で、スニーカーのように厚みとクッション性のあるもの、アーチサポートなど凹凸のあるもの、メンズの靴のようにかかと半分だけのものなどあります。
各製造メーカーはそれぞれの靴の機能に合わせて中敷を作ります。
素材も本革、合皮、合成繊維など多種多様です。
例えば本革は長持ちしますが、色落ちしたり雨や汗によって変色しやすい特徴があります。
また合皮は汚れが付きにくい一方で、時間が経つと加水分解で表面が剥がれてきます。
それぞれのメリット、デメリットを理解しておくと靴選びに役立てることができますね。
さて、私のところでは革の半敷を採用しています。
半敷とはかかと部分だけサポートしているタイプです。
足のサイズぴったりに木型を作っているため、全敷にするとその革の厚みによって履き心地が変わってしまうためです。
言い方を変えますと、全敷を採用しているメーカーの靴はその厚みも考慮して木型を製作しています。
また半敷である理由は通気性を妨げないということもあります。
では製作の様子を見ていただきましょう。
まずパターンを用意して、革を切り出します。

私は特にご要望がなければ、基本的にライニングと同じ革を使っています。
今回はフランス・デュプイのライニングを使います。
さてほとんどの靴には中敷にブランド名が記されています。
プリントや刻印といった方法です。
私はこのような型を使って刻印しています。

革を少し濡らし、圧力を加えると名前が刻まれます。

続いて、履いた時に違和感を感じないように、漉き機を使って外周の厚みを調整します。

裏にクッションを取り付けたあと、靴の中底に貼ります。

さて、今回の靴は中敷と同じ革で作ったのですが、色はご希望にお応えできます。
さまざまな色の革を取り寄せることができますので、どうぞお申し付けください。