中底作り(5)



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 カワムラヒデトモではビスポーク靴、レディース靴、靴修理を行っています。


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 さて今回は中底(なかぞこ)を木型に貼る工程をご紹介したいと思います。


 靴作りというのは、一足出来上がると同じ工程を繰り返してまた次の靴を作ります。

 ブログも投稿が増えてくると同じような内容が増えてきます。

 そのため中底を作る内容のブログも5回目になりました。


 よろしければ以前のブログもご覧ください。



中底作り



 さてまず始めに、中底に使う革を用意します。







 中底に使う素材はメーカーによって異なるのですが、カワムラヒデトモでは牛革のショルダーという部位を使用しています。


 ハンドソーンは製法上、中底にある程度の厚みが必要です。


 しかし革は厚みがあると曲げるのも困難になり、履き心地に影響します。

 一方でショルダーは厚みがありながらも柔らかいため、屈曲性があり足にもフィットしてくれます。


 大まかに切り取ったら、ガラス片を使ってぎん面(表面)を剥がします。







 これにはどのような理由があるのでしょうか?


 1.歩いたときに表面が割れるのを防ぐ

 2.靴の中で足が滑るのを防ぐ

 3.汗の吸水を促す


 諸説あるようですが、これらの理由があると言われています。



 さて表面を加工できたら、水の中に十分浸します。

 そのようにあらかじめ水に浸すことによって、木型の形に添わせることができます。


 十分浸したら水から取り出し、木型に貼ります。







 木型のエッジから少し余分を残す程度に外周を切りとり、一定間隔で釘を打ち付けます。


 そして中底の水分が完全に抜けるまで、風通しのいいところで乾かします。


 完全に乾いた状態がこちらです。







 カワムラでは釘を使った方法を採用しているのですが、このほかに自転車などのゴムチューブでぐるぐる巻きにする方法もあります。

 職人さんによって方法が異なっている工程です。


 乾いたら釘を抜き、外周を木型のエッジに合わせて整えます。



 そして今度は、ハンドソーンの最大の特徴となっている「リブ」という溝を作ります。


 グッドイヤーウェルト製法では中底の革に「リブテープ」を貼ります。

 一方でハンドソーンウェルテッド製法は、中底に直接ナイフを入れて溝を作ります。


 リブを作るため、ナイフや包丁を使って溝を作っていきます。







 そのようにして中底ができあがりました。







 中底が出来上がったら、アッパーをつり込む工程に入ります。