当ブログをご覧いただきありがとうございます。
さてカワムラヒデトモでは、メンズのビスポーク靴に加え、靴修理、そしてレディース靴を製作しています。
今回はそのレディース靴の製作の様子をご覧いただきたいと思います。
以前の記事でアッパーの製作の様子をご紹介しました。
さて、今回は木型に中底を貼る工程に入ります。
製作の様子をご紹介する前に中底について少しお話したいと思います。
中底は靴の中でとても重要なパーツになります。
なぜなら本底(アウトソール)は減ってきたら交換修理することができますが、中底はずっと使用し続けるからです。
そのため、カワムラヒデトモでは長い使用に耐えられるようにレディース靴でもメンズと同じ中底を使っています。
そして製法もハンドソーンウェルテッドで、修理しながら履き続けることができるような作りになっています。
そのようなわけで、レディースのハンドソーンウェルテッド製法の中底を作っていきたいと思います。
まず中底の革を用意して、木型より一回り大きく切り分けます。

切り分けたらそのまま木型に貼るのではなく、少し加工を施します。
まず最初に、革の表面をガラスを使って剥がしていきたいと思います。
なぜこうする必要があるのでしょうか。
これには職人によって意見が分かれるようですが、3つの理由があるのではないかと言われています。
1.足が靴の中で滑るのを防ぐ
2.中底の表面(ぎん面)が割れるのを防ぐ
3.吸水性を高める
これには職人によって意見が分かれるようですが、どれもありそうですね。
私もどれも正解ではないかと思っています。
皆様はどうお感じになったでしょうか?
さて、ガラスをアールを描くように割り、革の表面で滑らせていきます。
すると表面がきれいに剥がれてきます。
ちょうど木材をカンナで削ることに似ているかもしれません。


さて、そのようにして表面を取り除いた後は水に十分浸します。
木型の面はカーブになっているため、水に浸して柔らかくすることによってしっかり合わせることができるようになるからです。
革に十分水が浸透したら、釘を使って木型に貼っていきます。


これも木型を貼る方法も釘を使う場合と、自転車のチューブなどでぐるぐる巻きにして合わせる方法があります。
釘は跡が残る、ゴムチューブは水分が抜けにくいなどそれぞれデメリットがあるのですが、それもそれぞれ対策方法がありますので、職人は好きな方法を使い分けています。
水分がしっかり抜けたら、中底の加工に進みます。
まず木型のエッジに合わせて外周をトリミングします。


ハンドソーンウェルテッドではリブと呼ばれる、針を通す段差を作らなければなりません。
そのための線を描き、ナイフで切り取っていきます。


そのようにしてできあがった中底がこちらです。

革にテープとヒールを取り付けているように見えますが、一枚の革のままです。
中底が出来上がりましたので、これにアッパーをつり込んでいきます。