中底作り(3)






 ブログをご覧いただきありがとうございます。


 このブログでは靴の製造工程や靴に関するあれこれをご紹介しています。

 靴がお好きな方、靴製造に携わっておられる方、靴職人を目指されている方など、様々な方にご興味を持っていただければ嬉しく思います。



 さて今回は、中底の加工を行っていきたいと思います。

 中底については過去に何度か取り上げたことがあります。

 靴というのはデザインが異なっていても、ほとんど同じ工程の繰り返しになります。

 内容は少しずつ変わっていると思いますので、以前に同じテーマをご覧いただいた方もよろしければお付き合いください。


 さて、まず中底を木型に貼るところから始まります。

 出来上がった木型を革の上に乗せ、少し余分をもって切り出します。





 この革はイタリアの牛革のショルダーの部分です。

 ハンドソーンに必要な厚みがありながらも柔軟さを備えています。

 そして私の場合、本底や中底には一枚革を使っています。

 天然の革には、柔らかい部分や固い部分があったり、使用できない箇所もあります。

 またつま先側に使える部分やかかとに使える部分などが存在します。

 それらの条件を踏まえ、一枚革であれば場所や方向を考えて切り取ることができるからです。


 さて切り出すことができたら、ガラス片をカンナのように使って表面を取り除きます。





 なぜ表面を取り除く必要があるのでしょうか。

 それには革の割れを防ぐ、吸水性を高める、靴の中で足が滑るのを防ぐといった役割があります。

 詳しくは以前のブログをご覧ください。



中底作り



 表面を取り除いたら、水に十分浸します。

 芯まで吸水することができたら、釘を使って木型に張り付けます。





 ここで重要なのは革を木型の底面にぴったりと合わせるということです。

 そのようにすることによって、フィッティングを高めることができます。


 さて木型に合わせる別の方法として、自転車などのゴムチューブを木型に巻き付ける方法があります。

 この方法でもしっかり木型に合わせられるのですが、水分が抜けやすいという理由で現在は釘を使っています。


 中底の水分が抜けたら釘を抜き、木型の底面に合わせてトリミングします。





 ここからさらに加工していきます。

 ハンドソーンの製法では、ウェルトを取り付けるためのリブが必要になります。


 そのリブを作っていきましょう。

 エッジから5ミリ程度内側に8ミリ幅のリブを作ります。

 ナイフや包丁を使い、8ミリ幅のリブができました。







 このようにして中底の加工ができたら、アッパーをつり込むことができるようになります。