今回はドイツのワインハイマー(Weinheimer Leder)の革についてお話したいと思います。
これまで多くの雑誌やネット記事に取り上げられてきましたので、靴にお詳しい皆さまはこの名前をよくご存じだと思います。
最高級のボックスカーフで有名なタンナーです。
歴史的な背景については多くの情報を得られると思いますので、こちらではこの革を手にした感覚についてご紹介したいと思います。
ヨーロッパの山麓で育った牛で鞣されたその革は、まさに堅牢という言葉がふさわしい質感を備えています。
厚みは1.6ミリぐらいで標準的なのですが、触ったり曲げたりするとしっかりとしたコシと強さを持っていることが分かります。

皆様はどのような革を使った靴がお好みでしょうか?
柔らかい革で作られた靴でしょうか。それともどっしりとした雰囲気を持つ靴でしょうか。
作る靴の雰囲気によって使われる革も異なってきます。
革を作るタンナーさんは出来上がる靴の雰囲気に合わせて様々な革を作ることができます。
例えばピカピカに輝く革のリクエストがあった場合、顔料を吹き付けてその通りピカピカに仕上げます。
それによって元々あった革のシワや傷も目立たなくなります。
そのような革を使って作った靴は、少し磨くだけで容易に輝いてくれます。
しかしその一方で、革が本来持っている風合いは見られなくなり、革を育てて経年変化を楽しむということにはあまり向かないと言えます。
さて、ワインハイマーに関してはどうなのでしょうか?
この革を取り扱っている革屋さんにお話を伺うと、このタンナーは革を100%の状態には仕上げていないそうです。
およそ8割程度に仕上げ、残りの2割はその革を手にしたお客様が育てていくものと考えているようです。
実際のところ、靴が出来上がって最後にクリームで磨くと簡単に輝いてくれるということはありません。
表現が難しいのですが、クリームで磨くと鈍く光るような革です。
つまりその革の靴のオーナーの方が履いたり磨いたりということを何度も繰り返していくことによって、その方が望むように経年変化していきます。
まさにこの革を手にされた方が育てていくための革だと言えます。
その他の革についての記事はこちら


