レディースのウィングチップ(フルブローグ)―4



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 さてしばらく空いていたのですが、レディースのウィングチップの制作の続きをご紹介したいと思います。


 前回の記事では、アッパーと中底を作ったところまでご紹介しました。







 今回はその続きで、アッパーを木型につり込む様子をご覧ください。


 まず木型の上にアッパーを乗せ、ワニやハンマー、釘などを使ってつり込みを行います。







 この「つり込み」という工程の時だけ、ワニを使います。

 形状がワニに似ているため、そのような名前になったと言われています。


 このワニは様々な形があります。







 日本製だけでなく、イギリス、イタリア、フランスなど、靴作りを行う多くの国で作られています。

 靴職人はそれぞれ自分の使いやすいワニを選んでいるのですが、多くの職人は海外製のワニを使っていると思います。


 一方で私の場合、レディース靴の時は日本製のワニを使っています。


 日本製を使う理由として、日本のレディース靴メーカーの底付けからキャリアスタートしたという点があります。

 日本のワニを使って、早く美しくつり込むということを訓練されました。

 そのように、自分にとって慣れていて使いやすいという点があります。


 そしてもう一つの点として、ワニの先端の幅が狭いということがあります。


 レディース靴のつま先は、一般的にメンズより細くなっています。

 そのため、つり込む工具もそれに合わせて先端が狭く作られています。







 さらにレディースに使う革は、メンズ用に比べて厚みが薄く、柔らかい特性があります。

 そのため、それほど力を入れてつり込む必要はありません。

 先端が細くても、革が破れてしまうことをあまり心配する必要はありません。


 そのようにしてつり込むことができました。







 つり込みができたら、次にウェルト作成し、すくい縫いの工程に入ります。

 靴作りで重要な工程が続きます。