当ブログをご覧いただきありがとうございます。
カワムラヒデトモではビスポーク、オンラインショップ、靴修理を行っています。
こちらのブログでは製作の様子をご紹介しています。
ブログに関するご感想やご質問もお待ちしていますので、どうぞメールフォームよりお寄せください。
さてしばらく空いていたのですが、レディースのウィングチップの制作の続きをご紹介したいと思います。
前回の記事では、アッパーと中底を作ったところまでご紹介しました。




今回はその続きで、アッパーを木型につり込む様子をご覧ください。
まず木型の上にアッパーを乗せ、ワニやハンマー、釘などを使ってつり込みを行います。

この「つり込み」という工程の時だけ、ワニを使います。
形状がワニに似ているため、そのような名前になったと言われています。
このワニは様々な形があります。

日本製だけでなく、イギリス、イタリア、フランスなど、靴作りを行う多くの国で作られています。
靴職人はそれぞれ自分の使いやすいワニを選んでいるのですが、多くの職人は海外製のワニを使っていると思います。
一方で私の場合、レディース靴の時は日本製のワニを使っています。
日本製を使う理由として、日本のレディース靴メーカーの底付けからキャリアスタートしたという点があります。
日本のワニを使って、早く美しくつり込むということを訓練されました。
そのように、自分にとって慣れていて使いやすいという点があります。
そしてもう一つの点として、ワニの先端の幅が狭いということがあります。
レディース靴のつま先は、一般的にメンズより細くなっています。
そのため、つり込む工具もそれに合わせて先端が狭く作られています。

さらにレディースに使う革は、メンズ用に比べて厚みが薄く、柔らかい特性があります。
そのため、それほど力を入れてつり込む必要はありません。
先端が細くても、革が破れてしまうことをあまり心配する必要はありません。
そのようにしてつり込むことができました。

つり込みができたら、次にウェルト作成し、すくい縫いの工程に入ります。
靴作りで重要な工程が続きます。