当ブログをご覧いただきありがとうございます。
カワムラヒデトモでは、ビスポーク靴、靴修理、レディース靴を取り扱っています。
このブログでは日々の制作風景を中心に、靴に関する情報を掲載しています。
ブログに関するご感想やご質問もお待ちしていますので、メールフォームからお寄せください。
さて、製作していたマニッシュタイプのレディースシューズが完成しました。
カワムラヒデトモではハンドソーンウェルテッドの靴を制作しているのですが、それはおもにメンズの靴で採用されている製法です。
この靴をより多くの方にお履きいただきたいとの思いから、メンズだけでなくレディースも始めました。
ハンドソーンウェルテッドは製法上において底の部分にボリュームが出るため、全体のデザインバランスを鑑み、マニッシュタイプ(メンズのような)デザインを採用しています。
マニッシュデザインにした理由はほかにあります。
この製法の長所の一つは、修理しながら長く履くことができるという点です。
レディース靴はメンズに比べ、短いサイクルで買い替えることが一般的になっています。
そのような靴は、トレンドのデザインであったり、平均的に価格が安い、軽いといったメリットがあります。
その一方で、トレンドを採り入れたデザインの靴は時の経過を感じてしまうことがあります。
あるいは長持ちに不向きな製法で作られています。
カワムラヒデトモの靴は先ほど述べたように、磨いたり修理しながら長く履いていただける製法で作られています。
そのため最新のデザインを追い求めるのではなく、飽きのこないシンプルなデザインにしました。
さて、これまでのブログで何度かに分けて制作の様子を取り上げてきましたが、改めてそのすべての工程をご紹介したいと思います。
ではご覧ください。
まず木型を用意し、それにデザインテープを貼り、型を採ります。
デザインテープを木型から剥がし、クラフト用紙に貼って、忠実にカットします。


それを段階的に展開していくと、革を切るためのパターンが出来上がります。
そしてそのパターンを革の上に乗せ、裁断していきます。
この革はフランスのデュプイ社の「シャトーブリアン」です。
これはビスポークで使用している革になります。
この革は店で取り扱っている革の中でも特に柔らかく柔軟性を備えており、レディースでも採用しています。


裏と表の革を切り出すことができました。


革を貼り合わせてミシンで縫っていくのですが、その前にそれぞれのパーツの厚みを調整して靴としての機能を向上させます。


厚みを調整出来たら、ミシンで縫っていきます。
特に強度が必要な羽根の付け根部分は手縫いしています。


余分な革を切り取ったり、かかとの縫い目を整えます。


靴の上の部分になるアッパーが完成しました。

次は底付けと呼ばれる工程に入り、木型に革を貼り加工します。




中底を貼った木型にアッパーをつり込んでいきます。


ウェルトを縫い付けるすくい縫いを進めます。


コルクとソールを貼り、ウェルトとソールを縫います。




ウェルトに溝を刻み、角をカットします。


コテを使ってコバと呼ばれる側面を整え、ヒールを積み上げます。


インクで着色し、全体を整えます。


長い間入れていた木型を抜き、中底を作って貼り、靴ひもを通して完成です。




多くの工程を経て、靴が完成しました。













このレディースの靴はご来店不要で、ネットでご注文いただけます。
このデザインでは、ブラウンのほかにブラックカラーもご用意しています。
公式サイトでは、このデザインのほかにハリスツイードの生地を用いたサドルシューズなどを展開しています。


公式ホームページのほか、ネットショップ名「h/k」として、ハンドメイドサイト「クリーマ」「ミンネ」で取り扱っています。
今後もデザインを増やしていく予定にしていますので、どうぞご期待ください。