ブログをご覧いただきありがとうございます。
さて今回は、レディース靴について取り上げたいと思います。
カワムラヒデトモでは、メンズのビスポークやパターンオーダーだけでなく、ネットオーダーによるレディースシューズも取り扱っています。


メンズに使用している革と同じ革を使い、製法もビスポークで行っているハンドソーン製法で作っています。
このレディース靴を作った経緯について少しお話したいと思います。
靴というのは履き物としての要素だけでなく、その他の様々な要素を備えています。
その一つの要素は、靴はファッションの一部であることです。
靴はこれまで、時代の流れと共に様々なデザインが生み出されてきました。
現代の靴は歴史的な背景により、メンズは落ち着いたデザインや色になった一方で、レディース靴はメンズに比べ色やデザインが華やかなものとなっています。
しかしレディースとメンズの違いは見た目だけでなく、製法や素材も異なることが多くあります。
それはどうしてなのでしょうか?
レディースはメンズより買い替えのサイクルが早いのが一般的です。
これはファッションとしての要素に重きが置かれているため、流行を取り入れたデザインが優先されるためです。
そのため毎年各シーズンに数多くの新作の靴が発表されます。
そうすると必然的に使用されている材料や作り方も、短いサイクルの使用に合わせたものになります。
皆様はクローゼットに大事に保管していたのに、ヒールやライニング(靴の内側)がボロボロになってしまったご経験はないでしょうか?
これは「加水分解」と言って、ポリウレタン樹脂などのソールや合皮の革が時間の経過によって劣化していく現象です。
加水分解はだいたい2~3年で発生すると言われています。
これはつまりその素材が使用されている靴の寿命はその年数であると設定されていることになります。
また、修理して履くことを前提にしていない作りになっています。
こうした理由から、レディース靴は長く履かずに買い替えるものという考え方が一般的です。
実際に、一足を何年も履くというより、季節やTPOに合わせた靴を何足も所有されておられるのではないでしょうか?
例えば、夏はサンダル、秋冬はブーツ、春は明るい色などです。
一方メンズの場合は、仕事では一年中スーツを着るため、どの季節でも同じような靴になります。
新作は毎年発表されているのですが、いわゆるビジネスタイプの靴はデザインは大きく変化することはありません。
そのためレディースに比べるとサイクルが長くなります。
そして、長い使用にに耐える製法で作られる靴が多く揃っています。
さてここで、なぜマニッシュシューズを作ったかという話になります。
靴は履いていると愛着が湧いてくるのではないでしょうか?
それは女性も男性も同じです。
季節や服に合わせた色や、その時に人気の靴を集める方は多くいらっしゃると思います。
しかし一方で、愛着のある靴をできるだけ長く履きたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そのような方の願いを満たせたらいいなということから、カワムラヒデトモではレディース靴も作ってきました。






ワンシーズンや一年で履けなくなる靴ではなく、できるだけ長く履くため、革などの部材は普段ビスポークで使用しているものを使い、製法も同じハンドソーンになっています。


デザインに関しても、すぐに古さを感じてしまうような流行を追うものではなく、飽きの来ないシンプルなデザインが中心になっています。


この靴は公式のオンラインショップサイトのほか、ハンドメイドサイト(現在はクリーマ)で取り扱っています。
ぜひ一度ご覧ください。
さて次のブログでは、そのマニッシュシューズの製作の様子をご紹介したいと思います。