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さて今回はマニッシュシューズのアッパー製作の様子をご覧いただきたいと思います。
アッパーというのは、靴の上半分のことを指しています。
型紙(パターン)を作ったり革を裁断したり、ミシンで縫っていく「製甲」と呼ばれる工程になります。
ではその工程の製作の様子をご覧ください。
以前の記事でパターン製作までご紹介しましたので、その続きをご覧ください。
出来上がったパターンを基に革を裁断(クリッキング)していきたいと思います。

今回使用する革はフランスのデュプイ「シャトーブリアン」です。
このシャトーブリアンについては以前の記事で取り上げたことがありますのでご覧ください。
ではナイフを使ってパターンの通りにクリッキングします。
すると表の裏の革のパーツに切り分けることができました。


各パーツを揃えることができたらそれを貼り合わせてミシンで縫っていくのですが、その前に革の厚みを調整します。
それを「漉き(スカイビング)」という工程になります。
なぜ革の厚みを調整する必要があるのでしょうか?
革と革を貼り合わせると二枚分の厚みになります。
そのままの厚みで靴にすると足に痛みを感じたり、段差ができて見た目も損なってしまいます。
そのため「漉き機」を使って必要な厚みまで薄くします。


漉くときはどれも同じ厚みではなく、部位によって厚みや幅、角度を変えます。
そうすることによって、強度や見た目、そして履き心地をよくすることができます。
次はいよいよミシンで縫っていきます。
革を貼り合わせて縫ったあと、余分なところは「市切り」という道具で取り除きます。


かかとは特に力が加わる部分のため、少し異なる仕上げ方をします。
かかとの上部をメンズと同じドッグテイル(犬のしっぽの形)にします。
そして二つの革の表を貼り合わせ、専用のミシン針に替えて縫い合わせます。
そして今度は「ウマ」と呼ばれる木製の工具を使い、ハンマーでしっかりと叩き形を整えます。

こうした手順を経て、最後は羽根の部分に「かんぬき(ステイ)」を取り付けます。
羽根の部分は開いたり閉じたりしてよく動いたり引っ張られる箇所のため、手縫いにしています。


ステイができたら、アッパーの完成です。

以上が「製甲」と呼ばれる工程になります。
次は「底付け」に入ります。
まずは木型に中底を貼ることから始めます。