プルオーバー






 パターンが出来上がったら今度は革を裁断していきます。

 しかしその前に、そのパターンが木型に本当に合っているのか一度確認したいと思います。


 どのようにしてそれができるのでしょうか? 

 その場合、木型に紙を被せて確認する方法があります。


 「紙アッパー」とか「プルオーバー」という言い方をします。


 紙を使うことには利点があります。


 紙は革と違って伸びたりすることがありません。

 そのため、パターンが正しいものなのか、よりシビアに見極めることができます。

 また、発見できたことに基づいてパターンを修正できるので、革を無駄遣いすることも防げます。


 そのようなわけでパターンを紙に写します。





 普段はクラフト紙という茶色の紙を使うのですが、画像で分かりやすいようにコピー用紙を使っています。

 次に切り取ったパーツを接着剤でつなげます。





 それを木型に合わせます。





 これによってどんなことが分かるのでしょうか?


 まず立体にしたときのデザインを確認することができます。


 今回はUチップのデザインですが、まずモカの形や大きさが分かります。

 羽根とモカの大きさを比べたり、全体とのバランスも見ることができます。

 左右の木型も異なるため、比べてみて違和感がないかということも知ることができます。


 また、トップラインに隙間はないか、かかとにはどれくらい余裕があるか…

 突っ張っている箇所、一方でシワができているところなど、修正すべき部分はないか…

 つり込みしろはどれくらいあるのか… 

 羽根を合わせるとどのように重なるのか…


 など、多くの箇所をチェックします。


 これらの情報は平面のパターンの段階ではわかりにくい部分です。

 このようにプルオーバーを作ることによって、パターンの段階ではわからなかった多くの情報を与えてくれます。


 必要であればパターンを修正します。

 そのようにして納得のいく答えが出たならば、そのパターンで革を裁断する段階に入ります。