ブローギング Brogue


今回は靴に施される装飾についてご紹介したいと思います。


フルブローグやウィングチップという言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?

靴をお好きな方ならよくご存じかもしれません。

ギザギザ模様になっていたり、大小の穴が開いていたりする靴のことですね。

装飾の入れ方やデザインによって、フルブローグやセミブローグ、クオーターブローグなどと呼んだりします。

ギザギザのことはピンキングと言い、靴作りではミシンを使ったり、ハサミで切ったりします。

その状態がこちらです。


画像では少しわかりにくいですが、中央のトップラインはナイフでまっすぐに切っているのですが、カーブになっている部分は銀ペンで描いた線をピンキング加工しています。

話は逸れるのですが、革を裁断するときは一般的なメーカーの場合、刃型と呼ばれる抜き型を革の上に置き、ガッチャンとプレスして仕上げます。

私が以前勤めていたところも同じで、裁断師と呼ばれる専門の職人さんが革の方向を見極め、パズルのように隙間を埋めながら綺麗に裁断していました。

ご覧になったことのない方はイメージしにくいかもしれませんが、お菓子のクッキーを作るときに型を使うのと同じですね。



さて、話を元に戻し、今度はパーフォレーションと呼ばれる大小の穴を空けていきます。

この方法は人によって様々ですが、私の場合は革の上にパターンを置き、ベビーパウダー(シッカロール)でなぞります。

すると、穴を空ける目安が分かります。




そして、ポンチで穴を空けていきます。

このポンチなんですが、靴のサイズやデザインによって使い分けるようにしています。


下は小穴を空けるための2連になったポンチです。





3つとも同じように見えますが、微妙に二つの穴の間隔が異なっているのがお分かりでしょうか?


左が狭く、右の方は一番広くなっています。

このように、靴のサイズやデザインによって大小の穴の大きさや間隔を替えていきます。

メーカーでしたら、革の上に型を置いてガッチャンと一回プレスしただけで出来上がるのに、私はこのように一つ一つ穴を空けていきます。


そして、出来上がったものがこちらです。



出来上がる靴がどんなデザインなのか、なんとなくお分かりいただけたかもしれません。

この次は漉き機で革の厚みを変えていき、ミシンをかけます。