ドラフト(足の計測)



 当ブログをご覧いただきありがとうございます。

 カワムラヒデトモではビスポーク、オンラインショップ、靴修理を行っています。


 こちらのブログでは製作の様子をご紹介しています。

 修理に関するブログは修理サイトをご覧ください。

 ブログに関するご感想やご質問もお待ちしていますので、どうぞメールフォームよりお寄せください。



 さて今回は足を計測する方法についてお伝えしたいと思います。


 オーダーメイド靴店では足を測るのですが、その方法は店によって千差万別です。

 紙の上に足を乗せて測る方法のほかに、足底の圧力を測ったり、石膏で型を採ったり、最近では機械の上に乗ると自動で測ってくれる方法もあります。


 さて皆様にお尋ねしたいと思いますが、どの方法が一番良いと思われますか?

 因みにカワムラでは、紙に上に乗っていただき、ボールペンやメジャーを使って測る方法を採用しています。







 さて答えですが、足の測り方に一番よいと言える完璧な方法はない、と私は考えています。

 オーダーメイド靴店がそのようなことを言っては元も子もないと、きっとおっしゃると思います。


 なぜかと言いますと、もしも一番よい完璧な方法があるとすればそれに統一されているはずだからです。


 たとえ完璧な計測を謳っている店があったとしても、実際は仮縫いをして再度フィッティングを確かめます。

 そうすると最初の計測は完璧ではなかったことになります。 


 靴作りは山登りに例えることができます。

 山頂を目指す登山ルートは一本だけではありません。

 それぞれの計測方法によって八~九合目までくることができたら、満足いただける靴を作るという山頂に向かって職人は目指します。

 山頂を目指す登山ルートはいろいろある、つまり様々な方法によって足を測ることができます。


 ではどのような基準で計測方法を選ぶのでしょうか?


 ひとつは、顧客がどのような靴を求めているかということを挙げることができます。

 足に大きなトラブルを抱えていてそれを解決したいのかそうでないのか、ということだけでも計測方法は変わってくることがあります。


 またさらに別の点として、その職人がどこで学んだかということが大きく関係します。


 石膏を使って測る職人の元で学んだ人はその方法を受け継ぎます。

 そのほかの方法も同じです。

 計測する回数を重ねていくと、自分なりの方法に少しずつ変化していきます。


 私の場合はこれまで3人の方に計測方法を学ぶ機会に恵まれました。

 その方々も、それぞれ計測方法は全く異なります。


 わたしはこれまで学んできたことから、自分なりに最善と思える方法を見い出しながら今に至っています。

 最初に学び始めてから13年ほど経ったのですが、そのころと比べてかなり変化しています。


 私も含めてオーダーメイド店の靴職人は、自分はこれだという方法で、体得した技術と経験に基づいて計測します。

 そのアプローチの仕方はそれぞれ異なっているとしても、お客様に喜ばれる靴を作るという目標を目指し、皆が日々制作に取り組んでいます。


 さて今回なぜこのテーマでお話しているのかと言いますと、使用しているドラフトを改定したためこの機会にご紹介したいと思いました。


 私の場合は縦長のシンプルな用紙を使います。

 その用紙は店によってペドカルテと呼んだり、ドラフトと呼んだり、わかりやすく足の計測シートなどと呼ばれたりします。


 私が使っているドラフトはこちらです。







 左(スマホご利用では上)のドラフトは、各数値を別紙に書いています。

 一方で右(下)は、縦長のドラフト用紙の余白に表を作り、一枚に収まるようにしています。


 これらでもいいのですが、より効率よく計測したり、記入間違いを防止したり、木型を削るときにもっとわかりやすくする必要を感じていました。


 そのため、ドラフトをさらにシンプルにしました。

 それがこちらです。







 ドラフト上では必要最小限の記入にとどめ、そのほかの情報は別紙に記すようにしました。

 これからはこのドラフトで計測します。


 足の計測は、靴作りの中で最も重要な工程と私は考えています。

 そのためもっと語りたいことがあるのですが、またの機会にしたいと思います。


 次回は、このドラフトを使って木型を作製する様子をご紹介します。