デュプイのライニング

 




 皆様は靴がたくさん並んだお店で、まず靴のどこをご覧になるでしょうか?


 まず表の革だと思います。

 表のデザインや色や質感などを吟味されることでしょう。


 そのように表側の革はよく注目されます。

 革にこだわる方はどこのタンナーなのかということも選択肢に入ると思います。

 まず裏の革を見るという方は少ないのではないでしょうか。


 今回はあまり注目されることはなくても重要なその裏革についてお話ししたいと思います。

 ライニングとも言います。


 ライニングが重要な意味はいくつかあります。


 まず、足に直接触れるということです。


 そのため各メーカーは靴の用途に合った最善のライニングを選ぶことを怠りません。


 例えばスニーカーやジョギングシューズにはクッション性の良い素材が使われます。

 寒冷地で履くブーツは温かいボアなどになっています。

 パンプスなど甲の浅い靴は滑りにくい革を使ったり、かかとに床面(裏側)を用います。

 メンズとレディースでは革の厚みを異ならせます。

 牛革だけではなく豚革、馬革など靴の用途に合わせて選びます。


 このように選択する基準がたくさんあるため重要な部分であることが分かります。


 さて、自分が使っている革はこのような革です。

 フランスのデュプイというタンナーのライニングです。





 どのような特徴があるのでしょうか?


 まず革に触れてみると、しっとりとした感触があります。

 表面がつるつるした革ではないので、足の中で滑ってしまうことはありません。


 またこの革は吸水性がよく、汗をよく吸い取ってくれます。

 さらに足にとって程よい柔らかさがあります。

 そのためタイトなフィッティングでも優しく包み込んでくれます。

 カワムラヒデトモでは基本的にこの革をおすすめしています。


 普段あまり裏側をご覧になることがないかもしれませんので、製作途中のライニングをご紹介します。

 ベージュの色が特徴です。





 外羽根のデザインの靴はライニングをこのように縫っています。





 このように表だけでなく裏の革を見てみると、そのブランドのこだわりや考え方、靴の特徴が見えてきます。

 今度靴を選ばれるときに少しのぞいてみられてはいかがでしょうか。