デュプイのライニング(2)






 ブログをご覧いただきありがとうございます。

 毎回靴作りの内容をブログにしています。


 さて靴作りは大まかにいえば様々な工程の繰り返しになります。

 足の計測、デザイン、木型、パターン、裁断、漉き、ミシン、底付け、仕上げ…などです。

 ブログもその時の様子を写真に撮り説明を加えています。


 するといつかは同じような内容を繰り返してしまうことになります。


 今回は再びライニング(裏革)についてお話ししたいと思います。

 というわけで『デュプイのライニング(2)』ということにしました。

 以前のブログはこちらをご覧ください。



デュプイのライニング



 ライニングに使う革は、表に使う革と条件が少し異なります。


 表の革は機能的な理由だけでなく色や美しさが求められるのですが、ライニングは足に直接触れる部分ですので、履き心地が優先されます。

 極端な例を挙げればワニやトカゲの革は表の革に使われることがあっても、ライニングに使うことはありません。


 ライニングには吸水性がよい、色落ちしにくいなどが重視されます。

 そのため日本の靴には馬革や豚革、牛革などが使われてきました。


 また革の厚みも表の革より大抵少し薄く作られています。

 パンプスなどには床面(裏側)が使われて機能面が重視されます。


 さて、今回の靴にはフランス・デュプイのライニングを使います。





 この革にはどのような特徴があるのでしょうか。


 デュプイの革と言えば発色がよく、少し磨くだけで輝いてくれるほど表面がきれいに仕上げられています。

 しかしライニングの革は、汗をよく吸ったり、足入れがよく、汗を吸っても色落ちしないといった条件が加わります。

 そのため表に使う革とは異なる仕上げが施されています。

 触れるとしっとりとした肌ざわりで、足をやさしく包んでくれることが分かります。


 一方で程よい厚みがあるので、ハンドソーンといった製法に適しています。

 この上にパターンを乗せて、クリッキングしていきます。