タックス






 今日はタックスのお話です。


 タックスとは簡単にいうと短い釘のことです。

 これは靴作りにおいてなくてはならないものです。


 一足の靴を作るのに何本もの釘を使います。

 それも1種類だけではなく何種類もの釘を使います。

 つり込み、ハチマキ、ヒールなど特に底付けに必需品です。


 例えば普段作っているメンズでは11ミリ、14ミリ、18ミリ、21ミリ、25ミリと5種類の釘を使い分けます。

 一時的に使い完成の時には取り外す釘もあれば、ヒールのように靴にとどまる釘もあります。

 形も様々で、一般的によく目にする釘もあれば、特殊な形をした釘もあり、用途に合わせて使い分けます。


 釘に関しては以前のブログに書いたことがありますのでどうぞご覧ください。



 

 さてその中でもタックスはかかと部分に使います。

 なぜ今回のテーマがタックスなのかとお伝えしますと、今回のつり込みの時に新しいタックスに替わるためこの機会にご紹介したいと思ったからです。


 これまでは国産のシンケンタックスというタックスを使っていました。





 国産のタックスなのですが、これが廃盤になり新しいタックスに替わりました。

 ありがたいことに使っている同じ長さのタックスを材料屋さんは用意してくださいました。

 それがイタリア製のタックスです。





 新しいタックスと以前のシンケンタックスと少し違いがあります。


 シンケンタックスの頭は楕円形になっているのですが、イタリア製はきれいな円を描いています。

 実際に使ってみると、とても打ちやすく感じました。

 いいタックスに出会うことができたと思います。


 この釘はいつも使っているつり込み用の釘と同じメーカーです。





 靴作りに携わっていると、ときどき時の流れを感じることがあるのですが、そのひとつが材料や工具が入れ替わったり取り扱われなくなったりすることです。


 今回のように同じようなものによって替わるなら問題ないのですが、製品が完全になくなったりするときはドキッとします。

 しかしいつも材料屋さんが近いものを探してくださり大変助かっています。

 なくなる理由は様々だと思うのですが、材料の値上がりや職人の高齢化、また靴業界の縮小などがあります。

 このようなことがあるたびに日本の靴業界の今について考えさせられます。

 

 今ある材料は当たり前にあるわけではありません。

 作ってくださる方や販売してくださる方に感謝して今日も靴作りに取りかかります。