靴作りの工程は終盤に入っています。
これまでヒールやコバにコテをかけることができました。
今回は靴にいくつかの装飾を施していきたいと思います。
さて皆様は、ヒールの上部にギザギザの刻みが施されていることにお気づきでしょうか?
何のためにあるの?
とお感じになることがあるかもしれません。
私に靴作りを教えてくださった方の話では、まだ接着剤が十分発達していなかった時代に、革を貼り合わせた跡を目立たなくさせるためだったようです。
その時代の名残が今も残っているんですね。
このように履き心地には全く影響はないものの、美しく仕上げるための装飾が靴には施されています。
ヒールに装飾を施す工具が、今回ご紹介するシートウィール(踵車)です。
ギザギザの幅や高さがそれぞれ異なっています。

これらのコテを使ってヒールに刻んでいきます。
私はこれを一足につき二度使います。
どうしして二度使うのでしょうか?
実はこのシートウィールは車の部分が格納できるようになっているのですが…

1回目は車を出さない状態、つまりギザギザを刻まずにヒールの上部に当てていきます。
そのようにして最初はヒールのトップを整えるために使うからです。
1回目については以前のブログに書いていますので、よろしければご覧ください。
さて、2度目は車を出してギザギザを刻んでいきます。
今作っているヒールに合うシートウィールを選びます。
それをいつものように電気コンロで温めてゆっくり走らせます。
このようにヒールに刻むことができました。
