当ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回はサドルローファーの製作を取り上げようと思います。
サドルローファーとは、甲の部分にサドルと呼ばれる細長い革が取り付けてあるデザインになります。

サドルの長さによって、「フルサドル」「ハーフサドル」と呼ばれることもあります。
ローファーといえばこれ、というような最もポピュラーなデザインです。
以前のブログの記事でアッパーを製作する様子までご紹介しました。
今回はその続きで、木型につり込んでいきたいと思います。
ただ、つり込み途中の写真を撮っていませんでしたので、これまでの様子を含めて改めてご紹介します。
まず、木型にデザインします。

ローファーはシンプルなデザインのため、少しラインを変えるだけで雰囲気が大きく変わります。
そのため、どんなローファーを作るのかイメージしながら描いていきます。
例えばモカを丸くしてサドルの幅を広げるとカジュアルな雰囲気になります。
一方でサドルの幅を狭くして、モカを長くするとドレッシーになります。
特にサドルは、靴全体のイメージを決定づける重要なポイントになります。
このサドルも様々なパターンがあります。
冒頭に取り上げた「フルサドル」「ハーフサドル」などのサドルの長さだけでなく、幅、形、中心部分の形などです。
このことを念頭に置いて様々なパターンを描いてみます。


そのようにして最終的なデザインが出来上がったら、次にパターン製作に入ります。
パターンは木型にデザインテープを貼ることから始まります。
これを木型から剥がし、クラフト用紙に貼ってカットしていきます。
いくつかの段階を重ねていくと革を裁断するためのパーツに出来上がります。


これで革を切ることができるのですが、その前にこのパターンで進めていいのか確認をしたいと思います。
この段階でひとまず紙でアッパーを作り、チェックします。

シワや隙間、かかとの収まり、全体のバランスなどを確認します。
紙アッパーで見つかったいくつかの修正箇所を修正し、次のクリッキングに移ります。
革の上に出来上がったパターンを乗せて、ナイフや包丁で裁断していきます。

革をパーツごとに切り分けることができたら、漉き機を使って革の厚みを調整し、ミシンで縫っていきます。
一方で、モカの部分は針を使って手で縫い進めます。


そのようにしてアッパーが完成しました。
これをまず試しにつり込んでみます。
全体のバランスやトップラインやかかとの収まり具合などをあらかじめ確認します。


仮のつり込みを終えたら、いよいよつり込みの開始です。
一つ一つの手順を説明するためにつり込みの様子も撮影しようと考えていたのですが、集中していたため忘れてしまいました。
またの機会にしたいと思います。
そのようなわけでつり込みが完成しました。

つり込みができると、靴の全体像が見えるようになってきます。
お分かりのようにスクエアの形でトップラインにテープを取り付けたデザインのサドルローファーです。
この次はウェルトを取り付ける工程になります。
すくい縫いと呼ばれるのですが、靴の製造の中でこれも重要度の高い工程になります。