コバごて 尺貫法



 前回の記事で「コバごて」についてご紹介させていただきました。


 さて、このコテの側面に数字が刻印されていることにお気づきだったと思います。


 この数字にはどのような意味があるのでしょうか?


 その答えをお伝えする前に、コバごての役割をご説明したいと思います。

 コバこてには、コバと呼ばれるソールの外周の部分をきれいに整える役割があります。


 ソールの側面を木やすり、ガラス、ペーパーやすりで整えたあと、このコバごてをかけていきます。

 冷たいままでコテをかけたり、電気コンロで温めて使ったりするのですが、ソールの厚みに合ったコバのサイズを使うことによって側面をきれいに仕上げることができます。


 つまり、その幅の数値が表記されているということです。


 よって厚みのあるソールはコバの幅の数値が大きくなり、一方でレディース用などになると数値は小さくなります。



 さてこの数値ですが、メートル法ではなく「尺貫法」という昔使われていた基準が用いられています。


 例えば下のコバごてをご覧ください。



 左側が「24」、右側が「26」と刻印されています。


 これは幅がそれぞれ「2分4厘」と「2分6厘」ということを表しています。

 尺、寸、分、厘という単位があり、今でも靴業界の一部で使われています。


 寸は尺の10分の1、分は100分の1、厘は1000分の1を表します。


 一尺は約303ミリですので、一分は3.03ミリになります。

 よって、2分4厘は(3.03 × 2.4)で約7.3ミリになります。


 つまり24と表記されているコテの幅は約7.3ミリになります。

 そして、26は(3.03×2.6)で約7.9ミリです。
 

 ソールの厚みに合った幅のコテを選ぶことにより、コバの側面や上下をきれいに仕上げることができます。