今日はクリッキングの工程をご覧いただきます。
クリッキングとは皮革業界の言葉で革をカットすることを意味します。
こぎん刺しの靴のために用意する革は、「H/K」でよく使っている仏デュプイの「シャトーブリアン」になります。
この革についての詳しい情報は以前のこちらの記事をご覧ください。
シャトーブリアンは柔らかくて発色がよいので、レディースの靴によくマッチします。

この革の上に出来上がったパターンを載せて、クリッキングしていきます。

パターン(型紙)は撮影のために適当に並べています。
どのようにパターンを並べるかは実際には革の部位や方向、トラや血筋や虫刺されなどの跡、さらに裏返して床面(革の裏)をよく見て決めます。
型紙の位置が定まったら、ナイフでクリッキングします。
今回はこの2本のナイフを使いました。

私はクリッキングには革包丁とナイフを使い分けるのですが、カーブのあるパターンの場合、基本的にナイフを使っています。
このクリッキングの方法も製造メーカーによって様々です。
中規模以上のメーカーではナイフや包丁などは使わず、鋼の型を革の上にのせてガッチャンとプレスして裁断していきます。
ちょうどクッキーを作るときに型を使うのと同じですね。
デザインやサイズが統一されている場合、その方法がとても効率がいいですね。
さて、裁断した革がこちらです。

どのようなデザインになるのか、大体お分かりではないでしょうか。
革はこれだけではなく、ライニング(裏革)や補強の革などを裁断していきます。
このクリッキングが終われば、漉きの工程に入ります。