今日はウェルトの話です。
私が普段製作している靴は「ハンドソーンウェルテッド」という製法の靴です。
簡単に述べますと、ウェルトを使って手で縫う製法ということになります。
つまり、ウェルトがこの製法の最大の特徴になります。
今回はそのウェルトの作り方についてご紹介したいと思います。
靴の材料屋さんでは様々なウェルトが取り扱われています。
何も加工されていない細長い革であったり、完成品のウェルトや、グッドイヤー製法用など様々です。
各メーカーは製造する靴の種類に合わせて適切なウェルトを選びます。
大規模な製造メーカーは専用にウェルトを作ってもらい、一方で自分のような小規模な店舗の場合は、何も加工されていない革を仕入れて、好きなように加工するのが一般的です。
そしてこれが、そのウェルトになる革です。

一定の長さと幅に大まかにカットされた細長い革の状態になっています。
これを作る靴に合わせて加工していきます。
この状態の革であれば、ハンドソーンウェルテッドだけでなくノルウィージャンやレディースの靴など様々なタイプに対応できます。
それでは実際に加工していきましょう。
まず、必要な長さにカットします。
次に表面を削り、ぎん面を落とします。

少しわかりにくいのですが、ぎん面を落とした状態です。
そして水に十分浸して、縦半分に包丁で切っていきます。

二つに分けることができたら、床面の端から4~5ミリをディバイダーで線を入れ、その部分をナイフで1ミリ程度の深さで溝を入れます。
今度は先端を尖らせたマイナスドライバーでナイフで切り込みを入れた部分をなぞっていきます。
そうすることによってすくい縫いの糸が収まるための溝が出来上がります。

今度はぎん面に同じように端から4~5ミリの部分に線を引きます。
次に包丁でその線をガイドにして、斜めにカットしていきます。
(慎重にカットしたかったので、写真は撮りませんでした。)
ウェルトが乾いたら、色を塗ります。
作る靴の色に合わせて茶色のインクにしました。
出来上がりがこちらです。

これを使って糸で縫っていきます。
その工程をすくい縫いと言います。
またその様子をお伝えしたいと思います。