私が普段製作している靴は「ハンドソーンウェルテッド」という製法の靴です。
この靴はウェルトと呼ばれる革を使うのが特徴となっています。
その製法の名前の由来となっているウェルトを今回は作りたいと思います。
以前に同じような記事を書いたことがありましたので、よろしければご覧ください。
さて、ウェルト用の革は一枚の革から切り出すのではなく、材料屋さんで取り寄せています。

これをまず靴に使う範囲の長さに切り、ガラスを使って表面を削ります。
これは表面が割れるのを防いだり、このあと塗るインクが浸透しやすくするためです。

しっかり表面が削れたらウェルトを水に浸します。
革の中まで完全に水が浸透するまで浸します。
表面をタオルなどで水を拭き、ディバイダーを使って半分の幅を測り、線を引きます。

次に、そのディバイダーの線の通りに包丁で切ります。

半分に切ったら、床面の端から4.5ミリにディバイダーで線を引き、ナイフでほんの少しの切り込みを入れます。

今度は先端を加工したマイナスドライバーで切り込みを入れた線をなぞり、溝を作ります。

今度はギン面に、同じく4.5ミリの線を引きます。
そしてガラス板の上に置き、よく研いだ包丁でその線をガイドにして斜めに切り落としていきます。

ウェルトの片側を斜めに切り落とすことができました。

ウェルトが乾いたらインクを塗って完成です。
さて、材料屋さんでは様々な形のウェルトを手に入れることができます。
グッドイヤーウェルト用であったり、色まで塗られ完成品のウェルトもあります。
私の場合は、作っている靴に合うものがないために最初から作っています。
加工されていない場合は時間はかかりますが、靴に合わせて自由にアレンジすることができるメリットもあります。
このウェルトを使ってすくい縫いをしていきます。