アシンメトリーのメダリオン






 今回はつま先に施される『メダリオン』についてお話したいと思います。


 つま先は屈曲する部分ではないためにある程度デザインの自由度があります。

 尖らせてポインテッドにしたり、四角くスクエアにしたり好みの形にすることができます。

 あるいはストレートチップやウィングチップのように革を切り替えることによってデザインすることもできます。

 そして今回ご紹介するメダリオンによって装飾を施すことができます。


 そもそもメダリオンとは何のことでしょうか?


 メダリオンとは、革に大小の穴を開けて好きなデザインに配列することを意味しています。

 それによって上品さやカジュアル感を演出することができます。

 定番のデザインはあるのですが、デザインのルールはなく靴の雰囲気に合わせて好きなようにデザインすることができます。

 よろしければこちらの以前のブログもご覧ください。


メダリオン


 ルールはないと言いつつも、左右対称になっていることが一般的です。

 しかし今回の靴はキャップが斜めになっているため、メダリオンもそれに合わせて非対称にしたいと思います。


 では実際に製作していきましょう。


 つま先が斜めになっていたり、全体的な雰囲気も考慮に入れるため木型にデザインを描きます。

 描いては消しを繰り返し、デザインを決めます。





 デザインが決まったらパターンに描き、ポンチで穴を開けます。

 今回は穴の間隔を3.5ミリに設定しています。

 パターンが出来上がったら革に乗せると幅や長さなどに修正の必要性を感じ、パターンを作り直します。

 別のパターンをいくつか作りました。





 最終案が決まり、革にパターンを乗せて穴を開けていきます。





 今回のメダリオンは大穴は3ミリ、小穴は1.2ミリにしました。





 メーカーでは一つ一つ穴を開けるのではなく、出来上がったデザインの刃型を革の上に乗せ、上からプレスして一度に穴を開けます。

 この方法は早く出来上がると同時に統一のデザインになります。

 一方で穴を一つ一つ開けていく方法は、自由にデザインすることができます。


 このようにオーダーメイド靴のメダリオンは個性を発揮できる部分の一つになります。