今回はすくい縫いに使う糸のお話です。
ちょうどすくい縫いを終えたということで、使っている糸についてご紹介したいと思います。
つり込みが終わると、ウェルトを糸で縫い付ける工程に進みます。
その工程を「すくい縫い」と言います。
これはすくい針というカーブした針を刺し、そこに糸を中底とアッパーとウェルトに通す工程です。

その時に使う糸は古くから麻糸が使われています。
麻糸をそのまま使うのではなく、チャンというものを擦り込みます。

画像にある和チャンや洋チャンに蜜蝋や油などを加え、熱して溶かします。
水の中に入れて冷やし固めたものを糸に擦り込みます。
どうしてチャンを使って糸を加工するのでしょうか?
麻糸をそのまま使うとすぐに切れたり、劣化してしまいします。
しかしこのチャンによって糸を強くし、靴を長持ちさせることができます。
さて、このすくい縫いの糸はそれに代わる糸を手に入れることができます。
イタリア製のタイガーという糸です。

現在はこちらの糸を使っています。
今では多くのビスポークメーカーでも採用しているようです。
ハンドソーンウェルテッドは100年以上前にできた製法ですが、使う材料はゆっくりではありますが、バージョンアップしています。