出し縫いが終わったら、「コバ」と呼ばれる側面を加工していきます。
一般的なメーカーや修理店の場合は、フィニッシャーやグラインダーと呼ばれる機械を使います。
ペーパーやすりが回転し、靴を当てるだけで削ってくれます。
街の修理店で、靴を削っている様子をご覧になったことがあるかもしれません。
この方法を使うと、ものの十数秒で完成します。
今回の靴は機械を使わずに一つずつ作業を進めていきます。
木やすり、ガラス、ペーパーやすりを使い側面を整えます。

それができたら、空ゴテをかけます。

空ゴテというのは、熱を入れずにそのままの状態でコテをかけることです。
画像にあるように上下のツメをコバの上下に挟み、スライドさせていきます。
ペーパーやすりで整った面に水を入れ、空ゴテをかけることにより、ツルツルの状態に仕上げることができます。

空ゴテが終わったら、コバの上側に目付けゴテを入れていきます。
靴作りをご存じの方は、「この段階で?」ときっと思われると思います。
本来の順番とは異なるのですが、この靴に関しては、この順番のほうが仕上がりがきれいになることに気づきました。
さてビスポークの靴の場合、ウィールと呼ばれる工具を使って細かい糸目をつけます。
しかし今回はカジュアルシューズのため、糸のピッチを広めにして、さらに手作り感を表現するために目付ゴテを使います。
ピッチが広くしているため、対応するウィールがないという理由もあります。
右が目付けゴテ、左がウィールです。

この目付けゴテを熱して、一目ごとに型をつけていきます。

ぐるっと一周目付けゴテを入れることができたら、コバを整える工程はいったん終了です。

この後はヒールを取り付けていきます。
ヒールを取り付けると靴としての完成形が見えてきますね。