こぎん刺しの靴 すくい縫い



 ウェルトができましたので、すくい縫いです。

 すくい縫い…あまり聞かない言葉ですね。

 靴業界でしか聞かない言葉なのかもしれません。


 すくって縫うということなのですが、それには先端が曲がったこの針を使います。

 これを使って、中底とウェルトと表と裏の革を同時に縫っていきます。





 使いやすくするためにこの針も先端を加工して使います。

 そして糸はタイガーの糸を使っています。





 以前はチャンを擦り込ませた麻糸を使っていたのですが、今はこの糸を使っています。

 100年以上前に完成した製法ですが、少しずつですがアップデートしているんですね。


 では始めましょう。 

 まず最初にすくい針を刺して穴を開けます。





 その後、内側と外側からそれぞれ糸を通した針を通していきます。





 ぐるっと一周縫うことができたら完成です。





 その後かかとに鉢巻き、背骨の役割をするシャンクを貼り、コルクを入れて隙間を埋めます。

 余分なふくらみや段差は木やすりを使って平らにします。



 

 ここまで出来たら、ようやく本底の革を貼ることができます。


 このようにウェルトがあることによって、修理で本底を張り替えるときにアッパーの革に影響を与えることなく交換することができます。

 修理することを前提にした製法ですので、靴を長持ちさせることができます。