これまでブログで何日かにわたって、製作の様子をご覧いただいていました。
そしてようやくその靴が完成しました。
改めてどんな靴なのかご紹介させていただきます。
革にはフランス デュプイのボックスカーフ「シャトーブリアン」を使いました。

シャトーブリアンの革は厚みが1.6ミリあります。
レディースの靴としては厚いように感じるのですが、この靴の製法に使う革にはある程度の厚みが必要です。
そのため、デザインもドレッシーなタイプではなく、マニッシュな靴として作ることになりました。
そして今回の靴の大きなテーマは「こぎん刺し」を施すということでした。
なぜこぎん刺しなのでしょうか。
以前住んでいた青森には様々な貴重な文化があり、その一つが「こぎん刺し」という刺し子と呼ばれる刺しゅうです。

青森といえば、ねぶた祭りやりんごはよく知られていますが、こぎん刺しについてはあまりよく知れらていないかもしれません。
自分も何らかの仕方でこの伝統工芸で作品を作りたい、この刺し子をまだご存じない方にも知っていただきたいという思いからでした。
以前にもこぎん刺しを施した靴を作ったことがあったのですが、改めてデザインや木型を新しくしました。
こぎん刺しについては、現在までに無数のパターンが考え出されているのですが、生地の広さや靴全体としてのバランスを考えた結果、市松模様にすることにしました。
そして、こぎん刺しの面積を確保しながら靴としての強度を持たせるため、サドルシューズのデザインにしました。

完成した靴がこちらです。

マニッシュシューズはどことなく堅いイメージがあるのですが、こぎん刺しを施すことによって温かい印象になったと思います。
イエローの生地にオレンジの刺し子によって、個性が際立っています。
この靴によって、こぎん刺しやハンドソーンウェルテッドの靴の心地よさを感じていただければ幸いです。
この靴は公式オンラインショップとハンドメイドサイト「クリーマ」で取り扱っています。