かんぬき ステイ






 只今アッパーを製作していますので、この機会にそれぞれのパーツの作っている様子をご覧いただいています。


 今回のテーマは「かんぬき」です。

 「ステイ」とも呼ばれています。


 目立たない存在ですが、靴を長持ちさせるうえで重要な役割を担っています。




 かんぬきは羽根の付け根に取り付けてあります。

 靴を脱ぎ履きするとき、かんぬきによって羽根が必要以上に広がるのを防いでくれます。

 それによって革が裂けたりすることがありません。


 ではこの作り方もご紹介いたしましょう。

 今回は外羽根のUチップの2種類のかんぬきを作ります。


 まずは羽根にモカを縫い付けるかんぬきです。

 「エプロンステイ」とも呼んでいます。


 まず糸を作ります。

 今回は5本撚りの麻糸を使います。





 あらかじめ着色しておきます。

 糸に針を取り付け、菱切りで穴を開けながら縫い進めます。





 一度に穴を開けるのではなく、縫い進めながら菱切りを刺します。





 開けた穴に針を刺して縫い進めます。





 端まで縫えたら完成です。





 ステッチの数は靴のデザインによって異なり、フェイシングステッチの幅に合わせて今回は5つのステッチになりました。

 このステッチはミシンで縫うこともできるのですが、今回は手で縫いました。


 次はアッパーの全体をミシンで縫い終えた後に行うかんぬきです。

 先ほどのエプロンステイは工程の中盤に行うのですが、このステイは工程の最後に行います。

 より重要な役割を果たす羽根の部分のかんぬきを縫って終わりです。


 先ほど施したエプロンステイの7から8ミリ上に手で縫い付けます。

 前と同じように縫っていきます。





 今回は3針縫いました。

 下側のかんぬきは通常ミシンで縫うのですが、今回はハンドステッチにしました。





 下のかんぬきでクオーターにモカを固定し、上のかんぬきで羽根の開きを抑える役割があります。

 これでアッパーが完成しました。





 今回は外羽根のかんぬきをご紹介しました。

 機会があれば内羽のかんぬきもいつかご紹介したいと思います。